シリーズアキバ

自然保護、景観保全という疾患について

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シリーズ私は、環境破壊を励行しようだとか、景観破壊を推奨しようだとか言っているわけではありません。私が言いたいのは、「自然保護=景観保全=正義」という思慮を欠いた連中の妄言に一石を投じ、皆さんに少し考えるきっかけを与えたいわけです。


マンションや団地、ホテルの建設は悪ですか?目立つ看板は悪なのでしょうか。
結局は程度問題です。そして、そういったものが建設される事は、反対されてしかるべきであり、
これは住民の総意だとして、建設会社に盾つくわけです。

さて、もうこの時点で私には疑問しか湧かない。地理学者なら、ニヤリとすることでしょう。
・景観とは何か?風景と勘違いしていないか?
・どの程度は許され、どの程度が許されないのか明確にされているか?
・住民とは何か?総意とは事実か?

ここまでで、これらの疑問が湧きます。特に、景観とはその地域に存在する文化(人の営み)を含む用語であり、それどころか音や香りも含む場合もある、包括的な空間を分析した結果です。スナップ写真で切り取ったパッと見ではない。よって、「パッと見が悪い→景観を破壊している」などと言って欲しくない。また、自分の価値観にそぐわないからと否定し、景観破壊に結びつけるような我田引水は辞めていただきたい。

そして、住民とは何かという疑問。そこに住んでいる人だけが住人なのか。利用者と住人の差はどこからか?どこからどこまでの地域なら住人か?このあたりも全く精査されません。更に、「マンション建設反対!」と叫ぶ人間はグループを作りますが、「マンションが建ってもいい・建とうが建つまいがどうでもいい」人間はグループを作らない。よって、後者は目に見えず、声と態度だけ大きい連中が「総意」だなどと横暴な事をヌかしているのではないか?


疑問は尽きません。

【本題】
河川の護岸を整備し、安全に水辺で遊べるように改良した空間、親水公園の建設はとある学者(環境うんちゃら学)に言わせれば、自然破壊であって景観破壊なんだそうです。それは、人間が手を加えてしまったから。里山こそ素晴らしく、マンションなど信じられない!と、彼らは言います。


ですが、私は彼らの発言を聞く度に、「自分がいかに阿呆で学生に物を教えるに足るだけの知識を持たない給料泥棒のクズ」だと喧伝しているようにしか思えないのです。彼らは自然を絶対の存在として神格化しています。だからこそ、人工物に過度の拒否反応を示す。


では、なぜ里山は良くて都会は駄目なのか。里山だって人工物ではないですか?
里山は自然を破壊します。山野に杉や竹を手前勝手に植え、土地を造成し家や田畑を作る。
完全に自然破壊ではないか。許されざる悪行ではないのか?
すると、彼らはこう答えるわけです。
「日本の原風景であり、里山(の住人)は山の管理などの機能も持っている。悪ではない」と。

ここで面白い話をしましょう。過疎問題を簡単確実に解決出来る方法の話です。
過疎化が問題になっていますね。過疎を無くすにはどうすればいいか?
「過疎地域を廃村にすればいいんだよ」
これは、社会地理学の先生も言っていた笑い話であって、唯一とも思える解決法です。
その地域に人が居なくなれば、ただの山なり海として認識されるだけで、過疎の定義から外れるわけです。
人さえいなければ、そこは完全なる自然の一部なのです。
では、里山なんて要らないのではないか?山の管理人を気取るなんておこがましい。
人が居なくなれば純然たる自然。管理もへったくれも無い。要らない。
山が崩れようが、雑木林になろうが、それが真の自然の営み。神格化すべき自然です。


彼らはこれを認めようとしない。結局は程度問題で、これは「オレ様的に気に入らないから景観破壊」としか言えない。こんな連中に陣頭指揮をやらせていいのか。地理学は、景観の優劣をつけない学問です。それは、どの学問より景観を学んだ故に、優劣をつけることをやめた経緯があります。そこに学問として独り立ちできる数値化、明確化出来る物が無かったためです。



親水公園は自然破壊か?水に親しみ、治水事業を兼ねる。人と河川を結べばそこに歴史や文化が生まれます。これこそが景観であって、護岸の有無が景観ではない。確かにあんたらが小さいころは自然の川だったかもしれない。それを改悪しようとしやがって!という私怨にしか見えない。きっと30年後、親水公園で遊んだ子供たちは言うだろう。親水公園こそ僕達の原点。自然の形だった。と。


護岸工事も許さないという彼らの意見から考えれば、江戸時代などの河川の付け替え工事や、それに伴って出来た三日月湖などは人工物であって悪でなくてはならない。当時の最先端技術によって、自然を都合のいいように作り変えたわけだ。石垣で縁取りをして流れを変えるなんて許されるはずがない。



ご存知だろうか。渋谷には渋谷川という暗渠河川(工事等で地下に埋められてしまった川)が存在する。これは、昔なら自然破壊、景観破壊だったろう。では、今の時代にこの暗渠工事を悪としてアスファルトを引っぺがし、街の中に川を登場させたらどうか?それこそ景観破壊ではないか?渋谷の街中に川が出てくるとなると、利用者にとったらいい迷惑だろう。


また、秋葉原の街中にどことは言わないが、大きな紳士服販売店が登場しようとしている。
家電の街、電脳の町秋葉原に突如として現れる、現実を痛感させる存在。
これは景観破壊ではないのか?
幕張方面のネズミ園の中にハローワークが建っていたら台無しではないか?
例えそれがその風景の一部として上手くキャラクターが配されて、目立たなかったとしても。


何度も申し上げるが、景観とはスナップ写真で切り出した「風景」ではない。
例え目立たなくとも、その空間内の雰囲気やイメージ、文化を壊せば景観破壊となる。
この景観と風景との差が分かっていないから、彼らはバカな事を今日も叫び、バカな市民や学生を再生産する。これは悲劇ではないか。



景観に優劣がつかないのは、今回見てきたように、自然だから良い、人工だから悪。
といった単純明快な基準がなく、私にとっての違和感も、他人の価値観ではそうでもない。ということが頻発し、そういった曖昧模糊とした多くの人の営みもまた文化であって景観の一部であるが為に、景観を語りつくせない点にある。


皆さんも少し考えていただきたい。常識、固定概念と言うのは知性の殺戮者ですよ。

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