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吉崎観音先生『アーケードゲーマーふぶき』レビュー

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IMG_0959かなり古い作品となりますが、秋葉原には普通に新品が置いてある店があるんです。秋葉原といえど、新刊すら入らないマンガ専門店が沢山あり、秋葉原なのに…と毎度(毎日)思うわけですが…。さて、アーケードゲーマーふぶきは、私が吉崎観音先生のファンとなった作品。1998年からファミ通ブロスに連載されていた作品です。20世紀の吉崎先生を見、21世紀の吉崎先生を見られる貴重な一冊です。1999年からケロロ軍曹が始まり、それから1~2年で急激に氏の絵の形が決まる。その過程がこの一冊で垣間見えます。


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コレクションの一部。ふぶきグッズは結構持っていまして、持ってないのはふぶきなりきりセットとかですか。このパーカーとコインケースが欲しくて欲しくて、もう焼けてしまいましたが、当時健在だったヤマギワに行きたくて行きたくて…。

「吉崎(敬称略)はマンガの古典である」ということをかつて発表させていただきましたが、氏の手法は手塚から始まる近代マンガの色彩を引き継ぐ現代版で、時流に流されない不朽の作品とは、いつどの時代に読まれても素晴らしい。小手先ではなく、人間が人間である以上、必ず楽しめるその作りは、かつての文豪達のそれを髣髴とさせる。と、小難しく語らせていただきました。

氏の作品を手に取り、開けばこの言葉の意味はすぐにお分かりいただけると思います。
「古典、定番=マンネリ」ではなく、王道であると。王道で一本立ちする事がいかに難しいか。正攻法が通じないからこそイロモノ、スキマで勝負をするわけで、真正面から戦える氏こそ現代のマンガを象徴する大作家であると私は考えて居ります。

さて、本書の魅力について語らなければなりません。アーケードゲーマーふぶき(桜ヶ咲ふぶき)は、ゲームが好きな女子中学生。しかし、あるとき謎の男から貰ったPP(パッションパンティー)を履いてゲームをプレイすることで超人的なゲームの才能を目覚めさせる事ができるようになった。その力でゲームによって人心と経済を操らんとするギュラシック団と、(アーケードゲームで)火花を散らす!(一方的にギュラシック団に狙われているだけ!)

というもので、氏らしい愛らしいキャラクターと読み易さ、そして何より、紙面からしたたり落ちそうな吉崎氏のゲーム愛を感じます。最近は軍曹がちょこちょこゲームを遊んだり、氏自身がオトメディウスをやってたりしますが…。純粋なゲームマンガというものが死滅してしまった現在、こういったゲーム愛を前面に押し出してくる作品の登場が望まれますね。氏は軍曹が忙しすぎてどうにもならないんでしょうけど…。

ネタバレになるのですが、情報元も軽くバラしていますし、もうかれこれ10年も前の作品ですから良いでしょう。アーケードゲーマーふぶきは、ゲームセンターあらしと繋がりを持っています。あらしの時代を駆け抜けてきた人は、ニヤリと出来ること間違いなし。

OVA版も出ており、こちらも出来が良く、一見の価値アリ。
アーケードゲーマーふぶき→OVA→声優:野川さくら→ラジオ…
と駆け抜けた若い自分を思い出します。ローティーンでもなかったのですが、
若い自分の純粋なゲーム愛、作品愛を確認する為に、生涯手元に置いておきたい一冊です。

では、最後に本作より幾つか金言を。

「芸夢不遊批判好好獣 ワナビラス」
ふぶきを追い詰める怪物、ワナビラス!立派な二つ名(?)の通り、10年前も同じようにゲームを遊びもしないのに宗教的にハードごとに分かれては他社のゲームを批判し、それだけが生きがいのクズ野郎は相当数居たんですよね。「サターンw」みたいな。現在はネットの発達でそういう連中をそこかしこで見ることが出来るようになってしまいました。悲しい事です。

「ゲームはただの遊びじゃないの 人と人の心 繋ぐ架け橋」

映像はちょっとその空気を味わっていただければと。たまたまYoutubeにありましたので。こういうのはあまり好きじゃないんですけどね。続きはご購入下さい。

新品でBOXも出ていますし、中古ということならば500~1000円程度でDVDを購入できますから。さて、金言その2はOVAから。OPの「thunder of PP」の2番の歌詞が非常に良いわけですね。ええ、歌が良いのではなく…歌詞が素晴らしい。

私は10年ほど前までは純粋にゲームを楽しみ、10年前から現在まではこの言葉を胸にゲームを楽しんでまいりました。結果、ゲームに対していつも誠実で居るようにと心がけ、宗派戦争や大衆迎合に走ることなくゲームを楽しめたと思います。

ゲームというのは何の為にやるのか。自分が楽しめる=相手が楽しめないというものではないはずです。自分も相手も楽しめる。そんな理想的な環境は作ろうと思えば簡単に作ることが出来る。遊びだからと手を抜いたり、負けて腐ってみたり、弱い者を見境無く苛めてまわったり。

「ただの遊び」とされて打ち捨てられることの多いゲーム、ユーザーに対して強烈な反論として私はこの言葉を受け取りました。ゲームをやって後味が悪い、特に100円入れて二度と遊びたくない…そんな風に思うようにしてしまうだなんて、どこまで外道かと。ゲームの中でお互いの思考が絡み合い、読みあい、不良ケンカマンガよろしく、殴りあった末にお互いを理解する。そういう事が実際にあるんです。

優劣をつけあって愉悦を得るのではなく、言葉などよりも遥かに自分を語るプレイで心を繋ぎあう楽しさ、その架け橋としてゲームを捉えれば、あらゆるゲームにまつわる醜い争いも消え失せると思うのです。

ゲームを深く愛し、原点に立ち帰る為の原典として幾つか手元においてみてはいかがでしょうか。
コミック、DVDコレクション、OPです。
私が持っているDVDは各巻ごとに買っていった単品ですので詳細不明。
コレクションというのは廉価DVDBOX化された物の再販売物でしょうか。
3990円ならもう一度買っても良いかなあとか思って居ります。
かつて毎度買ってた1本分で全部揃うのであれば…。

     

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