私はつまらなくなったし、面白くなったと答えたい。何も言っていないのと同じだろうと一蹴するのは少し待っていただきたい。どちらかひとつにしろというのがあまりにも無理な暴論に思えるのでこのような回答となっているわけで、八方美人で居たいわけではない。
ゲームはつまらなくなったかという質問は、ゲームが一番面白かったのはいつだろうか?
という質問とほぼ同じであると考える。一般にこの質問の方が答え易いだろう。
私が最もゲームが面白かった時期は、1991年~1996年頃だと考えており、2000年前半はゲームが世界に根ざして以降、最悪の5年間と見ている。このような発言をすれば、確実に飛んでくるのが年寄りの妄言という反論であるが、ゲーム単体としての面白さを論じれば、1991年からの5(ないし6)年間より面白い物は無かったはずだ。その時代を生きていない人間に否定される道理など無いと思っている。
私はアーケードのストリートファイター2の全盛期を知らないのが残念であるが、家庭用のSFC版スト2は知っている。急にアーケードの話題になったのは、アーケードはかつて、家庭用ビデオゲーム機を凌ぐ高性能なゲームハードとして君臨していた時期があり、その為にアーケードでしか遊べない独自路線のゲームが数多く存在し、ゲーム市場を牽引していたからである。アーケードという勢力が消滅する(ほぼしてしまった)ことは、現代で言えば任天堂、SCE、MSの3社の内、任天堂が消滅するようなもので、最大シェアのメーカーが消えれば、当然市場は衰退する。
1991年以降は、SFCスト2からN64の3Dマリオに身震いしたり、PSの意欲作、低価格で大容量ゲームに感動したり、SSのセガらしい斜め上なゲームに脳天を直撃されたりした時期で、最も革新の波に揉まれた時期である。あらゆるタイトルが綺羅星のように降り注ぎ、誰もがゲームに夢中になった。FC発売以降、ゲーマーとして最も過熱した時期であろう(世間的にはFCないしWii/DSが一番過熱したろうが)。
よって、あの頃のゲームの面白さ、可能性には勝てるはずが無い。ここは疑う余地の無い部分として、なぜ私が言葉を濁して半端な回答をしたのかに進みたい。あのような半端さが残ったのは、ゲーム単体としての面白さ、革新は前ほどではなくなったが、今は通信技術の発達により新しい遊びが盛り込まれるようになった事にある。
ポケモン、サテラビューといった通信を盛り込むタイトルは様々あったが、環境整備が整わなかった。ポケモンのようにコードで繋がるのでは遠隔地の人間とは遊べない。サテラビューは敷居が高すぎた。DCのぐるぐる温泉やSNK等のタイトルで遊べる格ゲーなどは、KDDI(後のKDDIだったはず)によって管理され、目玉が飛び出すほどの高料金。ゲームという趣味の範囲を超えていた。
そこから言えば、既にあった技術の更新でしかないので「革新」とまでは言えないが、インターネット経由で誰もが自宅で楽しめるゲームが普及したことは、ゲームの面白さというよりも手軽さを向上させ、ストレスの無い趣味へと近付けた。成熟したアーケードゲームは既に特定のコミュニティや実力者に占拠され、世間にも飽きられた。しかし、インターネットがあれば、店舗と異なり上手い人が常にたむろしている事も無く、実力の近しい人間と遊ぶ事が出来る。そういったマッチングシステム(トゥルースキル/TSなどと言う)も開発され、枯れたジャンルに再度命を吹き込んでいる。
つまり、今ほど積み上げてきた全てのゲームの歴史、技術を楽しめる時期は無く、旧作もネットから簡単にダウンロード出来るし、新作はネットワークを用いて遊びの幅を広げていく事が出来る。ゲーム以外の部分でゲームを楽しめる時代は現在であって、過去には存在しない。
だからこそ、「つまらなくなったし、面白くなった」のである。
単体としての面白さは減じたが、それ以外の利用法が面白さを加えたというのが私の感想だ。