国内映画の市場規模は約1800億円といわれています。これを見て、多いか少ないかは
すぐには判断のつきにくいところではないかと思います。アニメの市場規模は約2300
億円ですから「趣味は映画鑑賞です」といっている人や、鼻の穴を大きくして「家に
シアタールームを設けたんだ」といっている人は、オタクよりもオタクの弩級のオタ
クであるといえるかもしれません。ちなみに弩級とは、ドレッドノート級の略。すん
ごく大きな戦艦くらい、つまりはビックリするくらいということですね。
さて、TwitterのTLで見かけたのですが、国内映画市場は紅ショウガ市場とほぼ同じと
いいます。そうです、牛丼を弁当で買うと貰える小袋に入ってるアイツです。私の友
人は牛丼店で紅ショウガで牛丼が見えなくなるほど盛ります。好きな人は好きなアイ
ツ。私は甘酢漬けの方が好きですが…。
それはそれとして、本当に紅ショウガに1800億円も市場があるのか。興味が湧いて
調べてみましたがどうも疑問符がつきます。といいうますのも、『日本食糧新聞』の
2009年6月5日に掲載された記事によれば、国内の漬け物市場は出荷ベースで約4325
億円。日本人の食べる漬物の代表として、たくあん、浅漬け、キムチが考えられます
から、これらを差し置いて約半数もの金額にあたる1800億円を紅ショウガが叩き出す
思えません。
国内の作付け面積と出荷量からみても、国産ショウガは平成21年度で約4万トン。輸
入ショウガが生鮮、調理済みを含めても5.5万トンといわれます。根ショウガと葉ショ
ウガという分類がありますが、この統計は十把一絡げにしたもののようです。ですの
で、単純に根ショウガの平均取引単価をかけてやることにして、
国産ショウガ4万トン×平均単価50万円(1トンあたり)=200億円
輸入ショウガ5.5万トン×平均単価22万円(1トンあたり)=121億円
都合、約321億円分のショウガが1年間で消費されていると推定されるわけですが、こ
の段階で紅ショウガ市場1800億円説に暗雲たちこめますね。既に述べました葉ショウ
ガ、これは高級品ですから紅ショウガになるとは考えにくい。次に甘酢漬け。これも
ポピュラーな加工法ですから、321億円の中でもかなりの部分を占めると考えられます。
更に生姜湯やすりおろしたもの、果てはショウガ焼きなどにも使われますので、多く
見積もってもせいぜい紅ショウガになるものは20%の60億円程度ではないでしょうか。
60億円のものを市場規模といわれている1800億円で売るとなると、価格ベースでみて
18倍。ちょっと暴利が過ぎるように思います。きっと、市場規模は100億円くらいなの
ではないでしょうか。と、私の予想でしかありませんが、推測ができるかなと。
蛇足ですが、1800億円という数字は「大不況」といわれるゲーム市場の半年分の市場
規模です。そんな中にあっても、いまだエンターテインメントの雄だと思っているのだ
から始末に負えません。一般視聴者(?)が「◯◯◯サイコー!!」などと叫ぶお決ま
りのCMを見るに、作り手、配給会社、広告代理店に至るまで、何らかのカルトを信奉
しているのではと思うほど。
紅ショウガ市場と同じという噂は誤りだったとか、アニメ市場に勝った負けたではなく、
なんだか色々と真剣に考えるべき時期にきているのではないかと思う次第です。
『わたしのせれくしょん』