三糸シド先生の単行本『ぽっぴんcherry』ですが、カラー原稿2本がそのまま掲載
されており、お得です。まあ、その分なのか100円ほど定価を押し上げているようですが。
本作のポイントは、目です。基本的に目が死んでいるといわれれば、漫画家としては致命傷
なのですが、「目が死んでいることが活きている」特異な作家さんです。
ストーリー的に後ろ暗い過去があったり、影のある女性が出てくるのですが、
登場時から目が死んでいるからこそといいますか、独特の空気を漂わせています。
登場する女性の背景のせいで、ハードな話が多いのですが、収録作品には純愛物もございます。
目の描き方から、キャラクターのどこかに人間の持つ不気味さ、二面性、裏切られるのでは
ないかという不安を感じさせる力があり、ハード作品はもちろん、純愛物でも、
今まで味わったことがないような世界観を感じさせます。
目にハイライトの入った美少女絵も描かれておられますから、意図的に退廃的な絵を
描かれておられるようです。興味を持たれた方はぜひご一読を。