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『文章がうまくなるコピーライターの読書術』(鈴木康之/日経ビジネス文庫) #009

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こういうコピーライターが語るもの、を読んでいると気づくことがありましてね。
俺の力で物を売るんだ、売っているんだという「とんだ勘違い」 がそれです。
今回は、かなり毒のこもった物言いになるかと思います。


さて、コピーライターといえばどなたでしょうか。
ジブリ作品やMOTHERシリーズ、ほぼ日などでも知られる、糸井重里氏ですね。
氏のコピーを読んで、感動する方もおられれば、そうでない方もおられるでしょう。
そもそも、コピーなんてどうでもいいと思う方の方が多いはずです。
コピーというのはどうも曲者で、はなもちならない連中が、小手先の文章自慢をやる場
とでもいいましょうか、コピーの価値に気づかないのは、バカだからだといわんばかりの
コピーライターが相当数いるわけです。売れたかどうかなんてのは、商品の魅力や、
ライターが書いた文章の出来不出来に関わらない部分で決したりしたかもしれないのに、
売れれば手柄、売れなければ商品ないし理解しない世間が悪いとやらかす。
大半が無責任詐欺師集団なわけです。

コピーのなんたるかも知らないのに語るなとおっしゃられるかもしれませんが、
私は編集時代の書籍の帯の文句にはじまり、リーフレット、既刊案内等に色々と書いて
まいりましたし、現在でもいくつかの商品開発に携わり、そのコピーを担当しております。
その中で、商品名のおかげで当たったものはありますが、コピーのおかげであたったものは、
ひいき目にみてもないのです。コピーがダメだったからでしょうか?
その可能性もありますが、基本的に消費者はコピーを読まんのです。
文字より絵なのです。それから自らの利になることを探します。
デザイン、価格、性能など。よほど大企業が連呼し続けない限り、コピーの力など
たかがしれているわけです。
もしマンガを手にすることがあったらお試しください。
雑誌掲載時には煽り文がありますが、単行本収録時には取り除かれます。
単行本を手にしたとき、雑誌連載時にどんな煽り文句が載っていたか、思い出せますか。
その程度のことなんです。好きな漫画に書いてある煽り文を見て単行本を買ったとしても、
それはコンテンツの力あってこそ。ライターの勘違いは甚だしいと思います。

また、今偉そうにやっているコピーライターが活躍したのは、
「瓶のふたでも売れる」などといわれたバブルの時代。どんなアホなコピーがつこうが、
無関係に売れた時代なのです。これが勘違いの原因ではないかとにらんでおります。

あ、本の内容に関してですか?
「速読は読み書きを下手にする」「速読は時間の無駄」というような挑戦的な
文言が踊りますが、この本を読んでも文章は上手くなりませんし、
この本を読むこと自体が時間の無駄です。
コピーライターという、テキ屋稼業が今後どうなるかは知ったこっちゃありませんが、
広告を愛しているわけでも、文章を愛しているわけでもない連中に、
学ぶことなどありません。コピーライターをやりたいなら、ちゃんとした広告屋や
出版社に入ればいくらでも機会はあります。
しかも、自分で総合演出したうえでのコピーを書くことができるのです。
平たくいえば、真のコピーライターということになるでしょうか。
誰かの描いたもののうえに、だれかがちょこんと字を乗せる。
そんな半端なものではなく、です。
もちろん、全責任が自身の双肩にかかってまいりますが、それだけに成功したときは
ふんぞり返る権利があります。
まァ、真のコピーライターになりたければ参考にせんことですわ。

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