クロスマネジは、ラクロスをテーマにした異色作。しかもその連載雑誌が「少年ジャンプ」と
いうことで、かなり注目を集めている作品です。ワンピースや進撃の巨人のように、マンガ界
全体からの注目ではなく、注目しているのは文学系作品を好む層、そして、書店員です。
書店バイト経験があり、編集者としてもお世話になっていた手前、このマンガが連載されたと
き、集英社が本気でムーブメントを作りにきたなと感じました。最近はやりの「ステマ」では
なく、ジャンプという大看板を背負って世に出せば、絶対に当たる中身の詰まった作品なので
す。
主人公の櫻井は、自身のケガでサッカーの夢破れた男子高校生。その櫻井が弱小ラクロス部の
男子マネージャーとなるところからストーリーは展開していきます。ラクロス部の部長にして
運動も頭もポンコツなヒロイン、豊口深空(みそら)の懸命な勧誘と、前向きな姿勢を見て、
挫折を味わい、やさぐれていた櫻井は、少しずつマネージャーという仕事に意義を見出してい
く。その中で生まれる「高校生らしさあふれるトラブル」の数々を乗り越えて、弱小チームが
どのように強くなっていくのかを描きます。
ジャンルとしてはスポーツマンガですが、その実態は青春ドラマ。誰もが持っているであろう、
若かりしころの瑞々しさ満点な赤面エピソード、心のトラウマを刺激するようなストーリー展
開は、大人だからこそ評価できる作品です。きっと、現在進行形で学生をやっている方には、
この作品の面白さは伝わりきらないのではないかと。25くらいになったときに読むと、感動や
小っ恥ずかしさで身悶えするでしょうから、若い君たちも今は合わなくとも買っておいて損は
ありませんよ。
こういう心理描写とノスタルジーを刺激する作品が少年誌に載っている奇跡。めざとい書店員
はこんなものを見逃すはずもなく。書店のマンガコーナーで、進撃の巨人だけでなくクロス・
マネジを推している店は、マンガを売り上げではなく中身で判断している書店と断言してもい
いでしょう。(既にプチブームなので、単に乗っかってる店もあるでしょうが)
バトルや萌えではない、大人が読める作品をお求めでしたら、私は断然クロス・マネジをオス
スメいたします。