ラクロスというマイナースポーツであることと、キャラクターたちの心理描写に重きを
おいたストーリーのため努力や進化の過程への注力に乏しかったため駄作の烙印を押す
読者も多く、しっかりと築かれた大きな基礎の上に、不釣り合いな小さな建物しか建て
られなかった不遇の作品。そのバランスの悪さから完結した今も評判はよいとはいえず、
初版の部数も少ないらしく、あっさり欠品&入荷なしの店ばかり。しかし、掲載誌に恵
まれなかっただけで傑作になるだけの力は持っていたと私は確信しております。そんな
クロス・マネジ4巻のご紹介です。
ジャンプはどうしても即物的な作品が好まれる傾向にあり、『パジャマな彼女』に次い
で『恋染紅葉』が終わり、『ニセコイ』が残ったわけでして、アニメ化しやすい作品と
いいますか、メリハリ、動きのある作品が好まれます。女性的なしなやかな作品は近年
例外なく打ち切りの憂き目を見ています。打ち切りとなれば、数週で強引に完結させる
必要があるため、作品の中で積み上げてきたものが吹き飛んでしまう。10週打ち切り、
20週打ち切りであれば、ストーリーを膨らませる前に決着がつくので、大風呂敷を畳む
手間もないのですが、タチが悪いのが40週目辺りで打ち切られる作品です。単行本でい
えば、3巻~5巻で終わる作品。これが一番苦しい。初期の設定や勢いではとても保たな
くなってくるために、20話~30話あたりでもう一段、何かをブチ上げる必要が出てくる
のですが、ブチ上げた直後に連載終了の話が出ると全4巻辺りで不完全燃焼作になるわけ
です。こうなると、ストーリーがダメだの構成が悪いだのといわれ、ファンはつきませ
んし、次回作にも影響が出てくる。いかんともしがたい打ち切りがこれなのです。
クロス・マネジもまさにそういった週間連載のクレバスに落ち込んだ作品で、主人公たち
の心理やキャラクターが十分に発揮される前に連載が終わってしまいました。その証拠に、
4巻ではまだまだ先がありそうな展開を見せていますし、ライバルである蝶蘭女学院のキャ
ラクターは、主人公率いる藤丘高校ラクロス部を超える練り込み具合。まだまだ連載でき
るだけの力を残しての撤退です。
最大のライバルであり、日本最高のプレイヤーである茅原和峯(ちはらなみね)とヒロイ
ン豊口深空(とよぐちみそら)の主人公櫻井玄哲(さくらいつねのり)を巡る恋模様は、
恋と自覚しきれない初々しさが随所に感じられ、心理描写とその見せ方に優れた作品です。
また、櫻井は女子ラクロス部のマネージャーという立場にあって、単なるスポ根マンガで
はない特有の視点から描かれているところも斬新です。
ここで感情を爆発させるようなレビューを書けば、多くの方に手に取ってもらえるのかも
しれませんが、そういった応援の仕方はまったく似合わないわけでして、この未完の大器
は、紋切り型のマンガに飽いた方にお読みいただきたい一冊です。
【クロス・マネジ単行本並びに電子版】