違法ダウンロード厳罰化から1年CDの売上は回復しませんでした。これを捕まえて、
「ほら見たことか、回復しなかったじゃないか」とお上の無能を笑うのがネットの主
流な意見のようですね。ちょうど1年前、私が予測していた違法ダウンロードの厳罰
化の記事に、厳罰化しても客は増えない、でも、悪人も減る。それでいいという趣旨
の話をしたのですが、かなり不評だったことを思い出します。
2013年の今、当時私が思い描いた通りの現実がやってきて、売上は増えるどころか、
「CD」に関しては減りました。音楽ダウンロードサービスを含めても、音楽業界の利
益回復は達成できずということのようです。しかしこれは、CDのダウンロードが一般
的になるという過渡期であって、今まで1000円出していたCDが、200円でダウンロー
ドできるようになったのですから、これからもドンドン市場規模としては小さくなる
と思われます。ですので、金額ベースで見て減ったから厳罰化は無意味だったという
のはちょっと無理がある。また、音楽産業自体が斜陽産業であり、一時期社会現象の
ように扱われたKARAという腰振り韓国人女性グループのCD売上なんて、あれだけ騒
いでいても13.7万枚だそうで、そこにかつての栄光はないのかもしれません。
ただ、ここからが重要で、2012年の方でも書いております通り、真面目に金を出して
いる連中がバカをみないことってのは大きいわけです。予想通り、ネットからの違法
ダウンロードは激減しているといいます(Winny等に限られ、メールやファイルスト
レージサービスなどの原始的な交換方法はまだまだ元気かもしれませんが)。これは
よろこばしいことではないのでしょうか。私の知るブロガーなどは、厳罰化によって
音楽産業(ゲーム、映画)を逆に衰退させる可能性があるから、厳罰化は不要だとい
います。そこで私が「じゃあ、お前のブログを丸ごとコピーしたブログをアップロー
ドしてもいいの?」といったらば、見事に関係を切られてしまいました。
怒ったということは、やっぱり自分の作ったものを勝手に使われるのはハラがたつっ
てことでしょう。私だってそうです。ミュージシャンだって、工場でプレスするパー
トのおばちゃんだって、営業マンだって、経営者だって、自分が汗水垂らして作りあ
げたものを対価もなしに利用されていたら嫌な気分になるはずです。
金が貰えないから嫌な気分になるのか?端的にいえばそうなるかもしれません。これ
は同人活動でもちょくちょくいわれることです。「自分の作品を見てもらうために同
人活動をしています」という作家に対して「だったら無料で配れ」というアレです。
建前、外面でモノをいう作家にハラをたてるべきところなのかもしれませんが、そこ
には金がかかっているわけです。金というものが稼ぐのが難しいからこそ手放す(払
う)ことも容易ではないわけで。何がいいたいかといえば、金を介して自分を評価し
て欲しいということなんですな。
無料で手に入った音楽や作品でもてはやされても、それは本当の評価かどうかはわか
らない。しかし、金という重暗く、後ろめたい物質で数値化してもらえれば、評価は
一発でわかる。金を出せるか出せないか。これほど明確なものもないんです。単に私
腹を肥やす目的で金を寄越せといっているわけではなく、自分をどれだけ本気で評価
してくれているのか知る手段として、金ってものを求めているんです。音楽産業がど
うの、売上がどうのって「だけ」の問題ではないわけです。
あなたが評価してもらいたければ、あなたも評価しなければならない。現代社会で唯
一正当な方法、金を介してね。