毎年12月第1週の水曜日ごろに合格発表があるのが宅建、すなわち宅地建物取引主任者ですが、皆さまはいかがでしたでしょうか。合格発表と合格証書送付は同時に行われますが、後者は簡易書留による発送ですので、離島等の方は少し遅れることと思います。簡易書留ポストに突っ込んで帰ったりしませんので、自己採点では合格したはずなのに!と慌てている方は、不在票が入っていないかもご確認ください。
さてさて、合格された皆さま、おめでとうございます。次からは合格後の手続きについてまとめておきますので、ご参考までに。変更や地域の宅建協会ごとに差異がある場合もございますので、登録に関しては県の住宅課や宅建担当課に質問されると確実です。資格試験でも勉強されたと思いますが、合格後の登録に関しては実に煩雑です。宅建試験では出ないような様々な手続き、費用が必要となります。それが面倒だからと、宅建の専門学校に丸投げすると相手の思う壷。数万円+数日損をする可能性もありますので、ここでしっかり学んで、お金と寿命を節約しましょう。
あなたはまだ宅地建物取引主任者ではありません
まさかとは思いますが、宅建試験は四肢択一で7割とれたら受かるものですから、そんなこと知らないぞ!という方もおられる可能性がありますので、念のためここからはじめさせていただきます。あなたはまだ、宅地建物取引主任者ではありません。簡単にいえば、宅建試験に合格しただけの人です。これから「登録」という作業を行い、人格的、経済的、社会的に問題がない人物かを精査され、問題なしと判断された場合、各県の知事の名において、登録が認められます。登録完了の通知は1ヶ月ほどでハガキによって知らされ、それから宅建免許の申請を行う(即日発行から2週間程度までかかる自治体もあります)という手順になります。免許の申請は自治体に行う地域から宅建協会に行う地域まで様々ですので、申請場所の都道府県ごとにご確認ください。
どんなにはやい場合(実務経験2年以上、合格後1年以内の方)でも、免許の交付を受けて取引主任者になるのは1月中旬以降となる場合が大半のようです。それ以外の場合、例えば実務経験がなく、登録実務者講習を受けなければならない方の場合は、スクーリング等の開講日に左右されることになります。これらはほとんどが1月中旬以降、2月ごろですから、実務講習の修了書を受け取ってからの登録、免許の発行は3月以降ということになります。これに加え、合格後1年以上経過している場合は法定講習の義務があります。東京都のように毎週のように開催している地域から、隔月、島根のように半年に2回ずつ計4回という地域もあります。法定講習が夏にある地域であれば、それまでは免許の交付は受けられませんので、この春に退社、独立を目論んでいる方は注意が必要です。
登録には4万円弱の収入証紙(要確認)が必要ですし、登録実務者講習にも数万円の費用が必要です。法定講習は1万円程度、免許の交付申請には5000円弱。この他にも証明写真等の費用(スピード証明写真は受付拒否されたというはなしもありますので写真館に行かねばならず、数千円の出費)や市役所や法務局などで用意する書類の申請費も発生しますから、積もり積もればかなりの金額となります。酷なはなしですが、先立つものが必要です。一生懸命勉強して合格したけれど、この費用に仰天して登録をやめた方もいるくらいでして、不動産を扱うのは大変だということがこんなところにも見え隠れしています。
登録申請の落とし穴
登録申請にやってきて失敗する人のはなしをまとめておきましょう。代表的なものが、収入印紙を持ってきたので、慌てて役所で証紙を買おうにも費用がないというもの。証紙と印紙は別物です。ゆめゆめお間違えのなきよう。
次に身分証明書を持ってこいといわれて運転免許証を持ってきて、窓口で大暴れする方。よく見かけます。運転免許証は身分証明書ではありません。運転を免許されていることを示すカードを見せられたところで、役所の人間は鼻で笑うだけです。ここでいう身分証明書とは、各市町村等の首長が発行するもので、戸籍課等に行けば数百円で発行してもらえます。そこには、不動産取引をするうえで欠かせない弁識能力に問題がないかと、破産者ではないかが書かれており、この書面をもって、登録の審査をするわけです。原付免許を見せてもダメな理由がおわかりいただけると思います。身分証明書の発行には住所、本籍、戸籍の筆頭者の名前、認め印が必要です。申請前に確認しておきましょう。このところ個人情報保護の観点から役所もしっかり仕事をしておりまして、ややこしいことになりますのでね。
このほかに、実務経験証明書を持ってないというのもあります。2年以上の実務経験有。として試験で5問免除され、いざ登録となった段で、会社が実務経験証明書を書いてくれずに途方に暮れるという致命的なパターンから、単によく申請書を読んでなかった場合まで様々です。独立開業しようと前の不動産屋を飛び出した、銀行を飛び出したという方が前者の致命的パターンになっているようですね。
最後に合格証書を忘れる。地域によっては原本持参でコピーも持ってこいというところがあります。過去にイタズラをした人間がいるということなんでしょうね。収入印紙と違って、その場でどうにもならない系は出直しになりますから、忘れないようにしましょう。
さいごに
宅建の登録や講習、申請場所に必要書類、費用は各地ごとに異なります。合格された方にはそれら書類が合格証書と同封されて送られてきているはずですので、擦り切れるほど読み込んでください。実のところ、宅建の定番問題である不動産物件変動よりもややこしいのがこの登録から免許の交付までです。時間とお金がかかるからと適当に処理したり、放置するとそれこそお金と時間がかかることにもなりかねません。ぜひともスマートに免許の交付を受けたいところですね。
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