アキバ系雑談

ライターや作家になるにはどうすればいいか

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いまやむかし。このブログの前身は2004年ごろのブログブームからなかなかの人気を得て、ときに数十万PV/日を叩き出すこともあったのです。ウソだろ……こんなブログが?と思われるでしょうね。ごもっともです。

 

当時は、オタクをアキバ系と呼んで笑う世相へのアンチテーゼとして、若い私が怒りのままに「このテレビ局はこんな報道をした!許せない!!」「この本はオタクの悪口を公然としている!けしからん!!」などといっていたわけです。いま考えると若気のいたりですけれども、そんなことをしているとおかしいのがいるとなって、某掲示板にリンクを貼られたり、ブログ仲間みたいなのができたり、ちょっと記事書いてくださいなんてお話がきたりもしました。そこから雑誌やタブロイド紙、遂には出版社に入ったりしたんですけど、元はしがないブログ書き。そしていまもブログ書き、つまりはライターです。

 

ライターや作家になるために

以前からライターや作家になるにはどうすればいいですか、といった質問をメールやOB訪問で受けたりしていました。たびたびここにも書いてきましたが、3年以上は書いていない気がするので改めて書いておきます。

 

ライターや作家になるには、「今日からライターだ」ということ。これに尽きます。これで終わりです。

 

ライターや作家に資格はありません。名乗れば誰でもその日からなれます。なのに、ならない。「どうすればなれますか?」じゃなくって、「私、ライターなんです」と自己紹介するのが正解です。「いやいや、宣言したって食えないでしょ」というなら、残念ですが向いていません。会社でサラリーマンをするか、アルバイトで生計を立てる方が「向いて」います。なぜって、独立自営の仕事ですので、そこに保証などありません。できる人はでき、できない人はできない。運が悪ければできる人でも食えないし、よければアンポンタンでも食える。それが自営業です。文章を書くことで安定した収入をはじめから得ようとしている時点で向いていません。

 

ライターや作家になりたいという人は大別して2種類います。本当に表現することが好きで好きでたまらない。かつての自分のように、怒りの炎が秋葉原の並木に燃え移るんじゃないかってくらいに猛って収まりがつかないような人と、組織に縛られたくないだとか、今の仕事に不満(人間関係、職種、給料)といった漠然とした現実への忌避からライターや作家を目指す人です。

 

漫画家を見ているとわかりますが、サンデーで連載を持っている大人気週間作家のコトヤマさんなんかどうでしょう。連載に単行本作業、アニメの仕事に個展までやっているのに、ツイッターに模写や趣味のイラストをあげています。彼らは、漫画の疲れを漫画で癒す、正真正銘の傑物です(たぶん……)。

 

「ライター、作家にどうすればなれますか?」といっているということは、なんか上手いことをして、楽々プロになってやろうという考えが根底にあるということです。それはまあ、悪いことだとはいいませんけれども、安定を求めつつ嫌な現実から目を逸らすためにライターや作家になろうというのであれば、覚悟はしないといけません。なんの覚悟かって? そりゃあもちろん、作文の疲れを作文で癒す、正真正銘の傑物どもを相手に、生半可なきもちで乗り込む自分がどうなるか、という覚悟です。

 

私はご存知のとおり傑物でもなんでもないことが判明しておりますけれども、それでも秋葉原を怒りの炎で焼き尽くすくらいの、『FIRE & FURY』(Amazonへ飛ぶんで注意)な熱意はないとダメでしょう。

 

好きを仕事に!とはすばらしい言葉ですけれども、好きを仕事にすると、大好きを仕事に! 超好きを仕事に!! 激好きを仕事に!!! たちを相手にしなければならないと知っておくべきです。繰り返しになりますが、自営業とはそういうものです。嫌で嫌で仕方ない事柄で独立開業する人間は稀ですし、そういう人はすぐに会社を潰すんで、まあ、どこに行っても茨の道です。ならば、勝算を得てから踏み出すことです。とりあえず、ライターです、作家ですといいながら、ちゃんと情報発信をしていく。はじめは、びた一文儲からないと思いますが、1年、2年と続けることです。このブログはHTML叩いていたころから数えてもまだ15年目ですけど、それだけやっていることが大切です。5や10ほど記事を書いて、訪問者がこないからやめようと思うなら、そこでやめた方が懸命です。自分の特性が知れたわけですから。私のようにPVが毎日20もないのに200記事も書いているほうがおかしいんです。キ◯ガイです。キチガ◯だからこそ、日に万のPVが出るようになったわけですけど。

 

ライター、作家になりたければ、ちゃんと主業(修行)すること

ブログや物を書く間は、ちゃんと働きながら書くことです。いまの仕事に不満だから転職しようとしているのに!という人は、既に述べたように向かない傾向が大です。また、いまの仕事を終えてクタクタになって帰ってきたら、ブログや小説なんて書けやしない!というなら、それもまた向かない証拠です。趣味にとどめておいたほうがいいですね。

 

ライター、作家は頼まれ仕事で食い繫ぐにしても、自分でゼロからコンテンツを企画し、運営するにしても、思い通りにはなりません。ましてや組織ではないので、なにも与えられないし、守られないし、自分を律しなければいつまでも実質無職でいられるし、それはそれで難しいのです。私は現在、広告コンサルタントとデザイナーという仕事も兼ねてライティングをしていますが、これだってお客さんが無理難題をいってきたり、どう考えたってダメなD案(バリエーション豊富に見せかけるべく、選ばれないようにが適当につくった広告)を選ばれて顔面蒼白になったり、いろいろあります。

 

ブログという点から見れば、呪術的な広告を月XX万円で入れさせてくださいですとかあるわけです。敢然と立ち向かって断る覚悟がありますか。XX万円あれば、週5でコンビニバイトするよりは儲かりますよ。でも、やらない。それは読者への裏切りですから。お金欲しさにやると、必ずどこかで蹴つまずきます。ましてや、お金なんて問題じゃないんだ! 俺の熱意は止まらない!! とかいう奴に駆逐されます。傑物連中はとんでもない力と覚悟(本人はそうは思ってない)を持っていますから。また、どこぞのメジャー選手のように、そんな僕は「エ◯ブリー」なんていって片手に柔軟剤を持ってしまうと、読者はパッと散ります。私だって散りますもの。読者は悪くありません。あなたの仕事の本質がお金儲けだと見破られれば、というか透けて見えるんですけど、そういう人の書くものには魅力を感じなくなっちゃうんですね。

 

お金欲しさに適当なアフィリエイト記事を書いているだけの人間に、俺はこれが好きだ! 胸の大きな女性が着ているシャツの、ボタンとボタンの隙間が好き!! とかいう強烈な個性と情熱を持っている人間と殴り合って勝てるわけがない。いや、勝ち方はあるにはあるんですけど、その努力がメンドウでしょう? すぐにお金にしたいんですから。で、手間をかけたらそのぶん経費もかかりますし。好き! 採算度外視!! には勝てんのです。

 

だから、ちゃんと主業(修行)をする。副業のライターや作家になる前に、勝算の有無を見極める。ないなら諦めるほかないし、諦められないなら勝てるまで練習するほかないですね。「いや、本腰を入れてやらないと」などというのは、いわゆるオールイン。つまり全賭けです。オールインは、博打で負けはじめた人が、負けを取り戻すためにやる行為です。そこには勝算なんてありません。本人はあると思っていますが、いままで負けてきた事実があるわけで、おそらく次も負ける公算が高い。なのに、冷静さを失ってオールインとコールする。で、すってんてん。オールインはしちゃいけません。腰を据えて……というのは、週5でアルバイトして稼げる金額を、毎月コンスタントに稼いでからのはなしです。

 

私はおっかなくてそんなことできません。広告やコンサルティングといった種々の仕事で並のサラリーマンくらいの収入を得ながら、週2で土日深夜にコンビニに入っているくらいの収入をライティングで稼いでいるのが現状です。もっと記事を頼みます!といわれることもありますが、月に3本まで。さらに本業で週に2件以上締め切りがあるときは受けないと決めていますから、ほぼ断ります。これ以上やると、ライター、作家業にオールインするハメになるからです。

 

ライター、作家業を専業、主業とするなら、少なくとも月に手取りで30万円。可能ならば40万円。年にして500万円の収入がない限り、私は専業にはしません。私は凡百の人間ですから、主業があってはじめて情報を得、モチベーションを高められ、副業ができるのです。漫画の疲れを漫画で癒すようなことは難しいのです(広告の仕事の疲れを、釣りの広告の仕事で癒すとかはあります)。

 

まずは自分の適性を確かめてください。そのためにも、やっぱり「ライターです」と宣言しなければなりません。すぐに書きはじめて、徹底的に社会に無視されて、その間に修行しながら、向き不向き、勝算を見極めるのです。

 

修行ってなにをすればいいのよ

時代がもう10年も前のことになっちゃうんですが、私は家から学校、家から会社までの間に、1ネタ繰ることをルールにしていました。内容は特に考えませんが、「お!」とか「アレ?」と思ったことを携帯電話にメモしておく。行きと帰りに2ネタできることもあるし、もっとできることもある。そのなかで一番よさそうなものを選んで、怒りにまかせて書いたり、新しいお店ができるよ! といってみたり、いやらしいフィギュアを買って写真をあげてみたりする。たったそれだけ。

 

チャンスの神様には前髪しかないといわれるように、すれ違って「あ、チャンスの神様だ」と思っても、もう捕まえることはできません。常々チャンス……チャンス……と思いながら、ネタ……ネタ……と生きることです。それに苦痛を感じないなら、専業になれるかもしれません。私は疲れてしまいましたが。そうしていれば、Yahoo!から取材の申し込みがきたりもします。テレビ局からガヤで出てくれといわれたりとか。ネタを拾ってチャンスにし、もっと大きなチャンスに醸成していく。これが修行であって、準備です。

 

脅しにも似た「おわりに」

とまあ、こんなところがコネなどを使わない最短の方法かと思います。ちなみにこの記事、4000〜4500文字くらいあると思いますけど、原稿用紙10枚ぶん、1時間以内に書けますでしょうか? ライターや作家を突き動かすのは、書かねばいられないという、生命の危機にも似た焦燥感です。平凡最下層兼業ライターですらこんなもんです。それでもあなたは、明日会社行って辞める! といえますでしょうか。

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