で、実際どうやって物流が同人即売会を殺すのかですけども、利用者は「誰がどのようにして会場に同人誌やグッズを持ってきてくれているのか」を知らないか、失念しているんですよね。物流関係の人たちが朝一に会場に専用人員を派遣してくれるんですよ。本当にありがたい話です。ただの宅配ではありません。完全に特別扱いですよね。で、会場内をまわって置いていってくれるわけですが、イベント会場に遅れてきたりする売り手が相当数いるわけです。
そうなればどんどん配達は遅れます。開場時間は決まっていますから、再配達は明日でどうですか、ということはできません。当然、現場は大混乱です。また、印刷所や個人が早すぎる出荷をしたり、遅すぎる出荷をしたり(極道入稿する奴が悪いのかもしれませんけど)して、イベント当日まで運送会社の倉庫に置いておかないといけない場合があるんです。これまた厄介。有明でも晴海でも、イベント会場は毎日どこかが使っているわけで、荷物を事前に持っていって置いておくということはできません。バカスカ荷物が溜まれば、それだけ倉庫を圧迫して業務の邪魔。それだけでなく当日はデカいトラックで大量輸送、現場で仕分け。こんな大変なことをいままではサービスでやっていたわけです。でも、それももう無理です。限界なんですね。
こういった好意に甘えきってきたのに、「もう勘弁してくれ」と声をあげたら、金の亡者だ、イベントを潰す気か、この運送会社を使わないように運動を起こそう……酷いなんてもんじゃありませんよ。辞めちまいたいに決まってるんですね。こんな1日限りの特殊なシロモノ。おそらく利益は出てません。真っ赤っかかもしれない。だから、やめたいとイベント主催者に通知したり、印刷所に値上げを通達しているわけでしょう。ちゃんと背景を見てあげて欲しいんです。物流が拒否を決め込めば、イベント開催など不可能です。今後はみんながみんな自力で持って行きますか? 個人の壁サークルとかどうするんですか。2t車で自力搬入? デカイところはいいかもしれませんが、収支があわなくなってきませんか。採算度外視っていうサークルもあるでしょうが、そうやって採算を度外視する人間がいるために、お前は儲けるな、私と同じように貧乏になれ!と、1億総奴隷社会を作ってきたんですからこれは改めないといけませんし、同人誌の印刷だってタダじゃないのに、それに加えて運搬費用が超高額となれば才能ある若手がイベントをさらに忌避しかねません。それは買い手としても望まないでしょうし、別にイベントでなくてもいいやという価値観が広まれば、同人文化が一気にしぼむ可能性だってあります。まあ、昔の姿に戻るならそれはそれでいいかなぁとも思ったりしますが。
(次は「オリンピックによる会場問題が火種になるか」です)
この記事へのコメントはありません。