アキバ系雑談

書店と書店員のブランド化が危険だなぁと思う理由

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書店はただの商店にすぎない

 

この考えに同意できる人間はいないと思います。

少なくとも、本屋さんに勤めている人のなかにはいないでしょう。

 

モノを書く人間がこんなことを口にすれば「そんな作家の本なんて置いてやらない!」ということになるでしょうね。先日、新潮社の本は置かないっていってた人についての話を書きましたが、本屋に嫌われるようなことを口にすると、著者として大きな損失になりえます。だから、大抵、甘い顔をする。甘い顔をしておいたほうがいいことはわかってます。わかってますけど、書店でのバイト経験もある私だからこそいいたくなる『「本屋はただの店じゃない」というオゴリ』についての考えってものがあるんです。

(ちなみに、バイトごときがなにを語れると思うでしょうが、ベテラン書店員も相当数がパートやバイトですよ)

 

単刀直入にいきましょう。書店はただのお店です。市場や問屋から仕入れて売る、八百屋や魚屋さんと同じです。それ以上でも、以下でもありません。曲解されないように補足すると、八百屋さんも魚屋さんも地位の低い商売だなんていってるわけじゃないですよ。書店が特別高い位置にある商売じゃないっていってるんです。

 

なのに、書店員がもてはやされたり、文化の担い手だと偉ぶったり。その風潮が本当に嫌でした。人気書店員、名物書店員なんていうのがいて、その人に頭を下げて自社の本を置いてもらうんです。

自分が編集者になったとき、それまでのお客さんという立場から自分の本を置いてもらうための営業マンになりました。当然私が頭を下げていたわけですけど、その前の学生の時分は本屋のバイトだったわけです。頭を下げてもらうほうだった。でも、それがどうしても受け入れられなかったんですね。だって、どちらかといえば本という商品を作ってくれた方が上流で、それを売っているだけの書店は下流にあるはずなのに、偉そうに「この本じゃPOPは書けないな〜」とかいうわけです。

 

あ、こりゃマズイなとすぐに思いました。

当時からすでにAmazonはありましたし、編集者になったころには無視できない巨大な仕入れ先になっていて、Amazonに欠品が発生すると直接持参して押し込むなんてこともありましたから、書店や書店員が「自分が普通の商いをしていること」を忘れると、いまに取って代わられると思っていたんです。

そしていま、案の定です。

後出しジャンケンのようで申し訳ないんですが、Amazonも書店も同じです。書店だから八百屋や魚屋より偉いなんてことがないように、書店だから通販会社より偉いということもありません。でも、なんか偉いと思っている人が大半です。勤めている人間は自分の仕事に誇りを持っていることが多いので、特にです。地域の文化を担っているだとか、言論の番人だとかいうんです。

 

でも、そんなのほとんど誰も求めていなかった。だから、便利だったりポイントがつく通販書店に客が流れたんです。なぜそんなことが起こるのか。いわずもがな、同じ土俵上の商売だったからです。通販と実店舗の書店に優劣なんてありません。書店員が言論の番人、文化の創造主だとどんなに叫んでも、それらはネットのブロガーにだって担えますし、通販型書店でもできることでした。

 

また、POPを書くことで本の魅力を伝えるというお題目や本のプロという看板だって、POPを見に行く手間があるし、実店舗型書店にはどうあがいても売り場の面積に限りがある。棚も綺麗にしなければいけないし、レジも打たなければいけない。余計な仕事が本を売ることを妨げている。一方で物理的、時間的制約を飛び越えられるネットなら、POPだってページ上に置き放題、在庫だって置き放題。客の応対が不要なので効率的ですし、本当の意味で本のプロというなら、本の通販サイトの倉庫番のほうかもしれません。

 

効率の面で勝ち目がないと悟ったとき、好きな書評家やブロガー、芸能人がオススメした本を買えばいい、という日がくるだろうと思っていました。だからこそ、書店は特別などという考え方は捨てることだとも。皆が特別だと思っているなかで、特別じゃないと気がつければ、通販サイトには勝てなくても、実店舗間では生き残れるはずだろうと。でも、誰も理解してくれませんでしたね。

 

書店はいますぐ、モノとして必要になる商品を置かないとダメだと思うとも強く進言しました。文具や雑貨は当たり前ですが、美味しいビスケットなどのお菓子、本を読みながら飲みたくなるコーヒー、そういうものが嫌なら、場合によってはアダルトコーナーを大々的にやって、私がアダルトのPOPを書きますといったこともありましたっけ。

 

結果はいうまでもないですよね。全部拒否されました。で、その系列店はたくさん閉店していきました。閉店するということは、お前なんてもう要らないといわれたということです。ネットに代替されてしまう商売では、今後も文化の創造主だの言論の番人だのを気取ることすらできなくなるのに、どうしてもっと必死にならないのか。私には理解できませんでした。

 

彼らは美しく死ぬことを求めていたんでしょうか。それが本当に正しいことだと? 文化の創造主とやらはどうした。言論の番人などという大義はそんな簡単に諦められるものだったのか。いまでも憤りを持って思い出します。

 

伝説の書店員が書いたというと誤りで、POPによって伝説となった書店員が紹介した本として知られる『白い犬とワルツを』ですが、この書店員さんはPOPによって伝説となってしまったがために、随分と苦悩されたと聞きます。いまの書店員が本のランキングや売上を決めてしまう風潮を作ってしまったことを、どう思われているのか、とても気になります。

ちなみに作品自体は納まりの悪い収納みたいな感じで、要らない登場人物が多すぎてイライラします。あ、私の性格が悪いだけかもしれません。売れているっていうことは、売れる理由があるわけですからね。私が変な人なだけな確率の方が高いですね。はい。

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