歴史は繰り返すといいますが、2年足らずで繰り返すのは幾らなんでも周期が短すぎるのではないのか。最近はアキバを小バカにする「バラエティー」が確立され、それを消費しきり、暫くは静かなものだと思っていたのですが、どうもそうはいかないようですね。
テレビ等で再びオタクを連れてきては指差し確認腹式呼吸で笑い飛ばす企画が沸いてきたように思う。
実感なので絶対数がどうかというのは確認できておりませんが。
事がここに及んだことについて、仮説は簡単にたてられる。
2005年頃に格差問題が加熱し、ピークに差し掛かる。当時、オタクについてキャッチーなキーワードとして扱われ、アキバやAボーイ等、あるなし関わらず造語や新語が入り乱れ、アキバ系、萌えについて奇異と偏見の目が向けられだした。まあ、この辺については若かりし頃の私が頭に血を上らせて釣りではなく「本気」で怒っていた頃なんで、古株読者様は良くご存知かと。
スポットライトが当てられた理由は簡単で、格差社会化が問題視される中で、所詮ソレは他人事で、やる気の無い若者がただただ怠惰に生きた結果の「自業自得」だと。そういう連中はバカにして爪弾きにする事が許される。苛めても良い、被差別層として扱われていた。メディアもそういう連中を作為的に作ることで、世の中の大半のご機嫌を伺ってきた。
しかし、それも当然落日を迎える。「飽き」が来たわけで、2年もブームは持たないのが常。
(仮想)下層住民の中でも最底辺が「オタク」という最もゴミムシ然とした連中を叩くのに飽きたわけである。
そして、社会情勢も変化しました。景気が上向きになり、低所得者をバカにする事が難しくなった。
気運(所詮ムードでしかありませんが)として、再び一億総中流社会の空気が流れ、
下を見つけて叩いて精神の安定を図る必要がなくなった。
ですが、昨年からの世界同時不況の影響で、再び生活に苦しむ人間が出始めた。
じゃあ、2005年頃のように同じように低所得者や派遣を先ず叩き、段階的にオタクを叩く。
というわけにはいかないのである。事態はまさに火急。
メディアが話題の延命に奮闘できない理由がある。
それは、「明日は我が身」だということ。「文無しw」だの「低学歴のゴミがリストラwww」だのと言えない。
そんな事を言ったら世間に何を言われるか分からない。2005年頃の派遣社員に罵詈雑言は許されるが、
2009年の派遣社員バッシングはJARO行きだ。即人権問題。そんな空気が漂っている。
となると、低所得者は努力が足りないから~などと言う連中はテレビに出せない。
出せないと低所得者を叩けないし、叩いたところで世間は受け入れない。
じゃあ、どうしよう…。
かつて日本は「士農工商」という身分の階級を設けることで農民の不平不満を押さえ込んだ。
標語やカルタなどで耳にタコが出来るほどに聞き続けてきた身分による差別の悪。
これをまた今の時代にやっている。文明人面しちゃあ居るが、脳味噌は300年前と何ら変わらん。
「農民共よ、お前達より下の身分が居るではないか」
こんな悪辣非道を再度やっているだけ。
「(派遣)社員の皆さん。ごらん下さい。オタクという更に下の存在が居るじゃないですか」
とまあ、こうである。アレに比べれば俺はまだ幸せだという、極めて後ろ向きなやる気の出し方を狙っている。
そしてそれに釣られ、それに同調するメディア。だからこそのオタクバッシング再加熱。
我々オタクは大人しくするか、根気良く説明を続けていくしかないだろう。若者バッシングは派遣バッシング等に繋がる恐れがあるから、左派に配慮して今はなりを潜めている。今一番狙われているのはオタクだ。未だかつて無い総攻撃が来ないことを願うばかりである。