日本のゲーム業界は敗北しました。全ては甘えを許した業界とオタクのせい。と言えるかも知れません。日本人はいつからか、ゲームに見た目ばかりを求める生き物になってしまいました。というよりも、昔から物を知らないので、数値化された凄さ(解像度)や日本的なキャラデザイン(FFや萌えゲー)といった視覚情報や前評判で物を買ってしまいます。
日本人が洋ゲーを嫌うのは自由です。デザインが受け入れがたい、というのは土壌の問題ですから。しかし、同様に海外も日本的デザインを受け入れないという権利があります。そうなれば、死んでいる日本市場を捨てて海外で勝負をかけなくてはならない現状を見るにつけ、日本的なゲームは死んでいくのだろうと。今の日本的なゲーム(ギャルゲー)はなるほど、安定して売れます。しかし、売れる本数が本数です。利益は出ますが、爆発的に売れる事はありません。加えて、ゲーム市場の減少傾向、分散傾向を受け、彼らが買い支えるからといっていつまでもそのままで良いとは限らない。そういった保守的な思想が今のガラパゴスを産んでしまったわけですから。
日本の人間は未だに3Dモデリングに於いて日本の方が優れていると思っているようですが、それは完全な間違いです。私はスターオーシャン4や、エンドオブエタニティのモデリングが嫌いです。まるでゴム人形のようなキャラクター。2次元を良く考えることも無く3次元にしてしまったモデリングと言いましょうか。2次元の良さは情報量の少なさであって、何でもかんでも立体化して半端に物を増やせばいいというものではない。
これに比して、テイルズオブヴェスオペリアのような完全な2次元をアニメーションする立体に起こすという割り切った作品やベヨネッタのような海外路線を目指したモデリングは好みです。どうやら、日本人は中途半端な3Dを進化と捉え、自分の理解を超えた3Dを好みの外にある物、ゲームではないと考えているようにさえ思えます。
【和ゲーとは何だろうか】
日本人がゲームを買わない以上、海外にシフトしていくわけですが、日本人は「和ゲー」を出せと言いますね。和ゲーが出るのはPS3というのも良く聞きます。私が最後にチェックした時点では、PS3の方が洋ゲー率が高かったんですけどね。それはそれと致しまして、「和ゲー」とは何なのか。何を持ってして和ゲーと呼べばいいのか。
和洋の差を認識しているユーザーの評価を調査したわけではありませんが、論調として、リアルな3Dゲームは洋ゲー、グロいのが洋ゲー、配色がエグいのが洋ゲー…というものではないかと思われます。では、メタルギアは洋ゲーでしょうか。洋ゲーだとは言いませんね。当然です。日本のメーカーが出しましたから。
つまりは、「日本的な要素が詰まっているから和ゲー」というゲームへの評価で分類されるのではなく、「日本のメーカーが出しているから和ゲー」なんです。洋ゲーはちょっと…とか言っちゃう人間の多くにコレが当てはまります。まともな理由なんかありません。何となく嫌いというゲーム以外の評価で語っているに過ぎない。
洋ゲーはグロいというのもどうかと思います。我々はバイオハザードをはじめとするホラーアクション、グロを許容してきました。にも関らず、今海外のゲームがグロを磨き上げて持ち込んだとたんに受け入れを拒否する。島国根性の発露とも言うべきでみっともないと私は思いますね。
ゲームである以上、ゲーム性で判断するべきです。キャラクターの見た目は重要な要素でしょうが、日本人はそれに拘り過ぎる。かと思えば日本製なら3Dモデリングも許す。和洋の差異、文化的な何かというよりも、ゲーム愛国主義とでもいうべき思想が日本のゲームを殺しているとユーザーが気付かなければ、益々この傾向は強まり、遂には少数派であると痛感させられるでしょう。
【まとめと蛇足】
まあ、日本の古い考え方のゲーマーは、この状況が長引けば転身するか死滅するしかないので一向に構いませんがね。自分に自信があるのであれば、食わず嫌いでゲームを語ればいいでしょう。私は海外のゲームも遊んだ上で評価していきたいと思います。また、PS3最大の功罪は、日本市場を死の淵に追い遣ったこと。殺しかけたわけですが、そのおかげでメーカー、ユーザーの一部が目を覚ます切欠になった。日本で売れればいいという甘え、進化の拒否から、同じ土俵へ。洋ゲーが身近になり、洋ゲーを超える和ゲーの模索が始まった。これは評価すべきですし、評価するためには洋ゲーを知らないといけない。これが時代の流れです。
・サッカーゲームの至高はウイイレだと思ってませんか?とんでもない
・何故国産レースゲー、カーアクションゲーは死んだか分かりますか?
ウイイレ以外が売れない独占市場であぐらをかいていたら、FIFAシリーズに名声を全て持っていかれ、クレイジータクシーやデイトナUSAといった尖ったカーアクションが不思議と支持されない市場になり、リアルカーレースが人気なのかと思えば、そういったタイトルもあまり出ず。
カーアクションはバーンアウトシリーズなどに持っていかれ、リアル路線はForzaなどに持っていかれる。当然です。カーゲームはお金がかかるんです。クラッシュ音を録音するために車をぶつけたりする覚悟が居るんですからね。ここから先は儲かる市場の人間以外入っていけないんですよ。
【PCゲーを受け入れる皿が必要】
今、PCゲーは窮地に立たされています。1つは割れ問題。もうひとつはPCスペック問題です。前者はネット上でのファイル交換やコピーで、後者はハイスペックPCを用意できない人間は遊べないのという問題です。
ハイスペックPC、ゲーミングPCの為に10万近い出費と言うのは厳しい。コンシューマならその心配は無いわけです。かつてのPCゲーは、誰もが持っている家庭用ハード=PCという構図の中で成長していましたが、今や数々の問題からその地位は磐石ではありません。
PCゲーを受け入れる皿が必要です。ゲームハードにも、ユーザーにもです。
尖った作品や、洋ゲーを嫌うだけでは今後のコンシューマの動向に対応できないと思いますよ。
「洋ゲー!ゴアゲー!クソハード360!!クセー!!!」
などとのたまうのは簡単です。現実に某出版社から出ているPS系雑誌Dはそんな事を言ってましたが。洋ゲー、グロゲーは昔からあるし、ハードに関係なく出ている。今変わるべきはゲームメーカーだけではありません。海外ゲームをやる人間を売国奴と貶めたところで何にも始まらないわけです。輸入禁止にでもすれば別ですが。
変わるべきは我々です。視野を広く持たねば、正しい状況判断は出来ませんよ。
【オマケ】
次世代カルチャーショックを受けたタイトルあれこれ
1)バーンアウトパラダイス
2)Halo Wars / Civilization Revolution
3)テイルズオブヴェスペリア
1)カーアクションはこんな感じですというハチャメチャゲーム。日本で死んでしまったタイプのゲームを思い起こさせてくれる。
2)RTSとターン制対戦シミュレーション。これも日本では進化をやめたゲーム群。
3)360のリアルレンダリングの凄さを感じたゲーム。ロードの短さが素晴らしい。