お疲れ様、千代大海関。私が一番愛した力士。これ以上愛す力士はきっと出てこないでしょう。怒涛の突き押し相撲、素晴らしかったです。先場所は、引退後にどうも千代大海を送り出そうというのかなんなのか、突き押し相撲が多かった気がします。盟友魁皇との対戦もありましたね。師匠同様、4日目に引退。何か因縁めいたものを感じます。
相撲って今の子は遊ぶ機会が無いですよね。山相撲(平地に土俵を描いて取る)をする環境が無いので、相撲のファンになる要素がそもそも無い。自分は強かったですよ。村一番の力持ちってやつですね。
大横綱「双葉山」の69連勝記録。
白鵬の目指すこの大記録ですが、私は正直、認めていません。
つまり、今の2横綱の方が確実に強かろうということ。全然大横綱でも何でもない。なぜこんな事を言うのか。それは、当時の角界が雑魚の集まりでしかなかったからです。表現を変えたのに、余計に酷い言い回しですが…。
かつて、『春秋園事件』というものがありました。当時の力士達があまりの待遇の悪さを理由に、協会にストライキを起こした事件です。場所が春秋園という中華料理屋だったということから、こう呼ばれるのだとか。
しかし、ストライキをしたものの、給与や生活面の改善は受け入れられず、当時の幕内力士(前頭以上)の内、40人中29人が別団体を作り、そちらに移籍してしまった。プロレスの新団体設立のような話ですね。残ったのは11人。西方の力士は全員居なくなってしまったんですよ。特に十両では22人中19人が移籍。移籍しなかったのが双葉山でした。
こんな状況になってしまい、翌場所は急遽下位の力士を繰り上げて番付編成が成されました。幕内力士(十両含む)が62人居たはずが、翌場所は40人まで減少。その内25人は幕下からの繰上げ。双葉山は十両東の4枚目から、西の前頭4枚目に大躍進です。更に、当時双葉山よりも番付が上になった残留力士達は、いずれも双葉山の大記録が始まるころには引退、もしくは、陰りが見えており、到底まともな力士が居る状況ではなかった。
今で言えば、横綱が17、18くらいの若い力士、大学相撲部の連中相手に相撲を取るような物で、あそこが痛い、ここが痛いなどと言っていても、適当にやれば勝てる。貴方が小学生相手に本気で相撲を取る世界です。負けるはずがありません。
更に、当時の繰上げ時に横綱が居なかったというのも大きい。圧倒的に強い大関が横綱なわけですから、それが居ないのでは怖くも何とも無い。加えて、戦中ということも手伝って、「無敗の横綱」という単語は非常に好まれた。これは仮定の話でしかないが、圧倒的な連勝記録を引っさげて番付を登って行く双葉山に対して、他の力士は勝ちにくかったのではないか。(双葉山への勝利=日本の敗戦)というこじつけもございます。
いかがでしょうか。私が69連勝記録を認めないのはこういった理由からです。
今場所は朝青龍が優勝しましたから、来場所東の横綱は朝青龍です。
来場所白鵬を筆頭に大関、関脇、小結以下が全て居なくなり、相手が幕下の三段目力士ばかりになる。更に東方の大関などの役力士も皆抜け(日馬富士、琴欧洲、把瑠都など)、前頭も相当数抜ける(阿覧など)となったらどうなるか。
ご想像ください。朝青龍が年間全場所全勝優勝する(白鵬でも良いですが)姿が明瞭に浮かんできませんか。それを口にせず、「我未だ木鶏たりえず」と、双葉山の言葉を胸に相撲をとる白鵬こそ偉大な大横綱ですよ。私ならきっと、「何だ、あの雑魚狩り横綱か」って思いますもの。
こういった事を知っていれば、朝青龍のような態度になるのも頷けます。私は氏を責める事が出来ません。誤魔化しの大記録、協会の歴史の中で、実力、気迫、腕一本で掴み取った綱。横綱は現人神なのですから(化粧回しに紙垂が下がるのは神様の注連縄に同じ)、何やったって文句は無いはずなんですよね。見ていて気持ちのいい物ではありませんが。
今の相撲こそ面白い。と、私が言う理由がここにあるわけです。
【付記】
勘違いして欲しくないのが、双葉山及び他の力士への人格攻撃ではないという点。
私は相撲道に精進し、己を磨き上げた双葉山や他の力士を尊敬していますし、
そういった道こそが相撲道だと理解しているつもりです。
しかし、昔の横綱の方が凄かった。今の力士は弱くてたまたま「ガイジン」が勝ってるだけだ…という死臭すらする老害相撲ファンが許せないだけです。事実を事実として受け入れられず、公平な目を持たない彼らに相撲を語って欲しくない。というだけなんです。