一生懸命組織論を学んでいた6年前。懐かしいなあ。学んだところで、18だか19だのガキンチョが20、30の人間を思った通りに動かすなんてことは、先ず無理だったけど。相当長いので、暇なときに流し読みすることをオススメします。
【組織運営の基礎】
組織運営というのは幾つかポイントがあって、組織が大型化する前にその一切をやっつけておかないと、後々問題が起きはじめたときに屋台骨が揺らぎかねない。組織は分割して考える。これが基本です。
最近キーワードとして扱われることが増えたフリーライダー問題も、分割して考えることで解決する事が出来ます。前の会社で私が「フリーライダーになろう」としたのも、結局は組織運営の基礎がさっぱり出来ていなかったから。いくら偉ぶっても、基礎が出来てないのでは全く駄目です。その点、親父は最終学歴が中学でも経営者としてちゃんとやってたんだな、とかそんなことを今更思ったりなんかしちゃったり。
つまり、「組織には2種類の人間が居る」と思っている時点で終わってる。ということです。2種類とは、有能な人材と無能な人材です。マヌケな経営者は、無能な人材のケツを叩き、有能な人材を沢山集めようとする。その程度の知恵で組織の長だと威張られても、さっぱり帰属意識、隷属意識が湧かない。
無能な人間がなぜ無能なのか分かってない。その無能の理由の一つである、「努力不足」しか馬鹿な経営者には見えないから困ったもの。有能な無能者をいかに活用するか、無能者を最低限戦力化するにはどうするかを考える余裕がない。こんな短絡思考だからこそ、「少数精鋭経営」「ベンチャーのような勢いを」などと言う。私からすれば、馬鹿丸出しです。
「少数精鋭経営」や「ベンチャー」というのは、やる気も能力もあって、風通しが良く、若々しさ溢れる天才集団だが……金がない。という場合にのみ用いられるものであって、40、50の連中が群れている世界で使う言葉ではない。この言葉の背後には、「人材を育成できません」という意味があることを忘れてはいまいか。
人材育成とは、仕事のプロセスを教えることではないんです。組織に属し、その組織内で立場を作ってやることなんです。仕事なんてものはやっていけば追々覚えますが、やっていく理由がないと人間は働きません。フリーライダー化します。
それで、父の組織は有能、無能の2分割ではなく、3分割されているわけです。
「有能、普通、無能」
とでも表すべきでしょうか。言葉は悪いのですが、父曰く、
「頭が良い奴は要らん。そういう奴は独立する。そこそこ頭が良い奴が欲しい」
これは当たり前のことで、優秀な人間が自分と同等かそれ以下の経営者と共に働く道理がない。独立すれば、自分にもチャンスがあると思われてオシマイです。どうにもこの認識が持てず、優秀な人材を掻き集めたいと牧歌的に考える経営者が多いように思います。そんな姿を見抜かれた日には、組織の基幹に居たエリートが急に辞め、組織がてんやわんやになってしまう。優秀な人材を繋ぎとめる理由を用意できない内は、むやみに優秀な人間を欲してはいけません。
この3分割の利点は、それぞれに理由を与えられることにあります。
有能に分類されるのは、組織の長とその周辺数名。彼らの結束は絶対ともいえ、組織瓦解の際には数名で飛び出してやり直せるくらいの人物でなくてはなりません。全員が経営者としての才能を持っていることが絶対条件です。現場の仕事が出来るかどうかより、経営者としての能力が重視される立場にあります。
次に普通です。ここに属する人間は、何か1つでも秀でた才能がある人間です。経営者としてのキレや人間的魅力などには欠けても、「○○といえばAさん」といわれるような人材です。現場では身近に尊敬される立場にあり、事実上の組織の運営者です。彼らにさっさと権利を分割委譲してしまうことが、組織運営のミソです。そうすれば、普通(中間)の人材があれこれと考え、自分なりの答えを出し、自分で組織を回しているという実感と共に、帰属意識が形成されるのです。
そして、下位の無能です。ここに居る人間は、笛を吹いても踊らない連中。
「頑張らなくてもいい組織」に湧いてくるフリーライダーで、誰もが最初はフリーライダーのはず。この無能のグループの中で適切に使える人材を見つけ、普通に昇格させるのが、普通に属する人間の仕事、また経営者の義務であります。
私は、真の無能者はスケープゴートにする主義です。どうにも使い物にならない、組織内野党ともいいますが、そういう批判、陰口だけはイッチョマエな連中は、徹底的に潰します。鼻持ちならない奴らが袋叩きに遭う姿は、残念ながら多くの人間を心地良くさせてしまうものなのです。
ただし、無能に属するグループの中で、「自分があんな目に遭うのは嫌だ」と、スケープゴート対象外の人間に思わせてはいけない。「いつか俺もああいう目に遭わせる側になりたい」と思わせるのがミソです。外圧からの恐怖は不安となり、手足を縮ませます。一方、悪意に満ちていたとしても、自らを成長させようという欲求は、人を快活にさせるものです。
(結果、無能な年長者が後輩を苛める問題が発生するのですが、それは経営者が年長者をスケープゴートにして解消してあげてください。そのためにも経営者より有能な人材が無能の層に居てもらっては困るのです)
こうしていくと、無能層が素早く普通層に取り込まれ、強固なフィルターとして働きはじめます。多くの権利を委譲してあるのですから、中間層が殆どの仕事をやってくれるようになります。これで経営者がやる仕事は3つにまで絞ることが出来るのです。
【経営者の仕事】
経営者の仕事は3つだけです。
1)決断する
2)責任をとる
3)内外への対応
これ以外の雑務を経営者がやっている時点で、その組織には重大な欠陥があるとみて間違いありません。雑務、業務一般は全て、経営者以外の有能層に振り分け、彼らがそれらを普通層に適宜丸投げすべきです。下から上がってくる様々な問題は、普通層のフィルター、有能層のフィルターで完全に「こしとられ」、経営者は上記3点以外考えない。これがベストな状態です。
1)決断する
これは、当たり前のことですが、どれくらいの経営者が出来ているか疑問です。
企業レベルの組織ならかなりの割合で出来ているのでしょうが、コミュニティ、いわゆる地区の防災会議や祭の運営委員会、サークル活動などではどれほどが出来ているのか。
多数決で物事を決めるのであれば、組織の長は不要なわけです。
多数決や顔色をうかがって物事を決めていては、組織の長としての威厳も失われます。
ここで「ワンマンだ」などと言う連中は、基