暴れん坊本屋さん。書店、出版業界ではちょっとしたブームになった本作が、装いも新たに再登場!単行本の未収録作品と、書き下ろしを含め、お求めやすい価格となりました。
本書が人気となったのは、知っているようで知らない、本屋という仕事。
その知的で華麗に見える業界が、実は腕力、胆力、体力で支えられているという事実を
つまびらかにしたという点にあります。たとえばドン亀のようにトロくさい出版業界の動き。
Amazonで頼めば3日。書店に頼めば3週間。何をいっているんだと思われるかもしれませんが、
書店に頼むと、専門の流通機関を通して本が届くのが一般的で、ここの仕事が絶望的に遅く、
アメリカから船便で送ってんじゃねーかってほどに届きません。
倉庫が都内にあって、目と鼻の先の書店にも、きっちり3週間かけて本が届きます。
それほどに出版業界の体質は古く、仕事の速度は江戸時代の飛脚以下。
となれば、怒られるのは窓口である書店です。まったく罪もないのに、店員に不審がられ、
なじられる。なんともやりきれない職場。
そんな本屋さん、書店員の仕事ですが、その中によろこびを見いだしながら日々を戦って
います。その根底にはやはり、本が好きだという変わらない思いがあってこそ。
『泣いて笑って ときどき呪う』という帯の煽り文通りの日常的書店コメディー。
それがこの「暴本」です。 書店のバックヤードをのぞいてみたい方はぜひ、ご一読を。
『わたしのせれくしょん』