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ブログのコメント欄を削除することで見えてきたもの

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kome

私自身、コメント欄のないブログは卑怯だ、ズルだと思っておりました。その結果、
かつて1日に数千~数万PVもあったブログを放置するという事態に陥ってしまいまし
た。事の顛末をすべて記すことはいたしませんが、ブログやSNSでの誹謗中傷、殺害
予告、在学中は大学構内への中傷ビラ掲示などがありまして、ブログを長らく休止し
ておりました。それもこれもコメント欄を一般に開放していた「せい」なのです。コ
メント欄を発端として読者間で争いが起こり、その争いを放置していたとして、怒り
の矛先が私に向いたというわけです。

そんな経緯もあってブログを再開するならば、一度コメント欄を廃止してみようと思
いたったわけですが、その実験を通して見えてきたものと、コメント欄に対しての思
いをまとめてみたいと思います。コメントの歴史について触れる必要がありますので
若い読者さんには耳が痛いかもしれませんが、お付き合いいただければなと。


コメント欄を用意しないことは卑怯ではないということ

2000年中盤ごろまでは、コメント欄を用意しないで放言をぶちかます輩を批判す
る文化がありました。もちろん、今でもありますが、それは当時のネットにおい
てコメント欄というものは交流の場であり、議論の場であって、ブログという他
人の土俵にあがり、真っ向勝負の四つ相撲をやる土壌があったためです。当時も
少なからず荒らしという存在はおりましたが、今のように読み手が無責任ではな
かった。居を構えて講釈を垂れる相手に、コメント欄で勝負する人物には品位と
いいますか礼節があって、それをさせないのであればお前は人として論客として
認めないという空気がありました。

時代は流れ、今やコメント欄で暴れること、他人を貶めることが「趣味」の人間
が出てきた。いわゆる半匿名的ともいうべきかつてとは異なり、ブログという居
を構えないからこそできる、匿名のメリットを最大限活かしたゲリラ戦で論客を
叩いて楽しむ輩が多数となってしまったのです。コメント欄は交流の場ではなく、
書き手や閲覧者を罵倒して、自己の正当性や生きている実感を得る場所になり下
がってしまいました。

双方向時代のネットの世界で、一方通行な情報(コメント)発信をする相手に、
わざわざ歩み寄る必要もありません。コメント欄は善意の上にしか立てない欠
陥システムだったのかもしれません。 

ブロガーの生き甲斐を奪う、「楽しそうなものは許せない」という理論 

自分が不幸だから、他人も不幸になれ。そういう理論です。実社会にも少なから
ずおりますが、基本的に駆逐される人種です。生き物は前に向いていなければ生
きていけませんからね。人の足を引っ張る輩から、人は離れていくものです。が、
ネットではそうはいきません。どこからでも匿名の覆面を被って近寄ることがで
きます。人間は見ていて不快な人、物から離れるわけですから、彼らは嫌われる
才能をフルに発揮して、ブログやSNSを攻撃し、人を減らして破壊しようとしま
す。今やコメント欄は、この手の人間のために用意されたステージであって、あ
たたかいコメントや、生きる勇気を得られる場所ではなくなってしまいました。

ブログは書く側が一番です。その内容がどうであれ、コンテンツを生み出してい
る人間が一番なのです。コメント欄を置くことで書くことの楽しみやよろこびが
奪われるようではいけません。ブログを長く続けたければ、はじめからコメント
欄は置かないこと。これが鉄則なのかもしれません。 

あまりにも簡単になりすぎたコメント文化

昔はコメントを付けることが恐ろしかったものです。何をいわれるかわからない。
IPをどうこうして攻撃されるんじゃないかしら……。だからこそ、書き手の人と
なりを必死に探ったものでした。信頼できる人だと思ったらば、やっとこコメン
トをつけるのです。そんな世界でしたので、2004年(ライブドアブログでの本格
始動以前のYahoo!ブログ時代)当時からのブログの読者さんとは年末に一度、私
主催で鍋を囲む会を開くほど強固な結びつきが得られました。

では、2013年の現在はどうなっているかといえば、コメントをつけるのは風来人。
軽い気持ちでつけては去って行く。コメント欄で暴れて追放されたとしても、他
に行く場所はいくらでもあるし、匿名性が確保されているから痛くもかゆくもな
い(と思っている)。 

コメントはしぼり出すものではなくなりました。「いいね!」ボタンを押すよう
に、思いつきで書くものになってしまった。まあ、Web拍手サービスなんてもの
もあったのですが、かつてのラブレターのようなコメントや、血判状のようなコ
メントはついぞ見なくなりました。あるのはただただ、自分が他人様より偉いと
証明したい人たちの、不毛な努力の痕跡ばかり。そんなものを見せられるくらい
なら、コメント欄なんていりません。コメントが簡単になりすぎた弊害かもしれ
ません。 

コメント欄のせいで真意が伝わらなくなった

コメント欄があると、読者の意見や思いを受け取ることができて、次の記事に活
かせる。そんな時代は終わりました。そういった真剣な方からいただく意見は、
むしろ第三者が見ることができる場所に晒してはいけません。内々に交換すべき
です。なんだってそんなことをするのかといえば、再三触れておりますが、どん
なことにでも噛み付いて、暴れ倒したい人間から読者とブロガー自身を守るため
です。

それどころか、コメント欄が荒れに荒れ、ネット上で話題になると、炎上状態目
当ての人間が集まるようになりました。こうなると、コメント欄ありきの記事に
なってしまいます。まっさらな気持ちで記事に触れた方も、読後ないしは読前に
コメント欄を目にしたばっかりに、ブロガーの思いがまっすぐ届かず、曲解され
たり、価値のないものだと思われてしまう恐れがあるのです。こうなったら本末
転倒です。本文の価値を下げる、本文をないがしろにするような要素はバッサリ
裁ち落してやった方がよろしい。そう思うのです。 

コメント欄を持つことがブロガーにとっての足かせになる

ブログの世界において、ブロガーは神に等しい存在です。なぜなら、管理行為が
できるから。気に入らないコメントに反論したり、該当するコメントをバッサリ
削除できるのです。これは周知の事実ですから、世間は管理人はズルい、有利だ
と内心思っているわけです。

しかし、実際はそこまで有利ではありません。仮に批判コメントがついたとして、
管理人のあなたが反論したとしましょう。管理人による反論は回数制限の決まっ
た武器です。これに対し、相手は単独でも簡単に多数派工作ができます。複数端
末で入れ替わり立ち替わりコメントされればおしまい。管理人はこんなクソ読者
がいるんだ、助けて!とはいえないのに対し、相手はやりたい放題。マドハンド
並に仲間を呼ぶことが可能です。
各種工作で心象を悪化させ、管理人が公式コメ
ントとして反論しても、その何倍もの人間が反論の反論をして
いるかのような環
境をつくり出せば、見かけ上は勝利です。もし負けそうになっても、相手は管理
人にコメントを消された、改ざんされたなどといえば勝ち。最悪負けてもブログ
をやっているわけでなし、痛くもかゆくもありません。コメント欄が荒れてブラ
ンド力が落ちて損をするのはブロガーと相場は決まっておるのです。

こんな飛車角落ちのコメント欄を抱えているだけ損というもの。過去の遺物とし
て、納戸にしまってもいいのではないでしょうか。
 

「いいたいことは直接いえよ」というミもフタもない結論

昔はいいたいことはメールかコメント欄へってのが常でした。でも、メールはさ
すがにハードルが高い。そこでコメント欄だったわけですが、今度はこれが匿名
性が高すぎると。時代の流れとともに便利なものが出てくるモンで、SNSを使え
といいきってもええんとちゃいまんの?と。つまり、何かあったらツイッターや
らでどうぞと。一応世間様が見ているところですので、ブログの管理人だからと
いって神ではありません。双方同じ土俵。タマゴアイコンのフォロワーゼロだっ
たりした日には、無視を決め込んでも誰も非難はしないでしょう。わざわざサブ
アカウントまでとって、個人攻撃してやがるってなもんです。

いいたいことがあれば、半匿名な場所で直接伝える。それでいいんじゃないです
かね。 

コメント欄を廃止して、ツイッターへどうぞとする。これは卑怯だ、許せない。そう
いう意見もあろうかと思います。ですが、ブロガーが守られ、読者も守られている現
実もあるのです。ブログを読んで面白かったのでフォローしました。といった具合に、
かつてコメント欄で行われていた交流が再び起こりはじめています。

もちろん、改変リツイートによる私への攻撃などもあり、完璧とはいえませんが、悪
意者よりも善意者が守られ、利便性も向上し、生産者たるブロガーも幸せ。そうなり
つつあるわけで、なにかあったら半匿名のSNSを使ってくださいという方法こそが、
一番手っ取り早い解決方法なんだと思います。

コメント欄で悩まれている方。バッサリやっちまうのがラクですよ。クソ真面目にや
ると損でっせ。これが10年近くブログをやってるバカ野郎からのアドバイスですわ。 

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