シリーズアキバ

ブログ・SNS時代前夜の話とインターネット村社会

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ブログやSNSは危険だと大多数が思っていた

 

ブログは簡単に情報を発信でき、気軽にコメントをつけあうことができる。パソコンの前に人を貼り付かせて、白痴化、引きこもり化を推進する危険なものだ。規制しなければならない。2004年ごろですが、当時そんな風にいっていた人は少なくなかったんですよ。いまもいるでしょうし、白痴化した人もいるでしょうけど、「利便はすべてを駆逐する」のです。便利なものは、価値観、習俗、常識、そして法律までも変えてしまう。有識者がどんなに必死に否定しても、結局はこんな時代になっちゃいました。便利ですからね、無理からぬことです。

 

また、売春や児童への性犯罪、アンダーグラウンドなブラックマーケットとして利用され、犯罪と犯罪被害の温床になると真剣に危惧していた人もいました。もちろん、そういうことはあります。昔より気軽に連絡をとれるようになりましたから。でも、同じことが携帯電話(PHS)普及時にいわれていたことを知っている昭和生まれの私にとって、そういった類の「恐れ」は自己防衛でどうにでもなること、そのようなシステムがなくても犯罪は起こっており、それが普及に伴って移行してくるだけで如実に増えたりすることもないということも承知していました。

 

簡単な話で、犯罪には悪い奴と被害者(いい奴か悪い奴かはわかりません)が必要です。そして、ブログやSNSのせいで犯罪が起こるなら、そのどちらもブログやSNSを利用している必要があります。これって案外難しいんですよ。だって、ブログやSNSは当時先端技術でしたから。ネットのシステムを使わないならすぐにでも犯罪は可能ですけど、ネット犯罪はどちらか一方でもシステムを使ってないと成り立たない。誰もが使うようになってはじめて犯罪が双方向に行える(?)わけです。ですので、そこまで普及すればシステムを使わない犯罪が減って、携帯電話やネットで行われるようになるだけで総量は増減しないだろうな、と予測を立てていたんです。

 

もっとも、どんなに識者に訴えても、受け入れられることはありませんでしたが。

 

mixiが招待制を廃止した日

 

当時はSNSというと、mixiでした。mixiは紹介(招待)方式の会員制で、利用者の紹介がなければ入れませんでした。高級料亭のような一見さんお断りのシステムだったんです。もう信じてもらえないかもしれませんけど。私はmixiが招待制をやめた2009年の春、コミュニティが激変すると思いました。こうしてみると誰よりも率先して最新のシステムを享受していたくせに、保守的ですよね。ユートピアが壊れる音がした、というところでしょうか。経営陣の目が狂ったと、ユーザーのなかではもっぱら話題になり、日ごとに知り合いが減って、気がつけば最終ログインが「○日前」ばかりになりました。

 

FacebookとTwitterが日本でサービスを開始した日

 

そんなこんなでとっととブログに出戻り、TwitterかFacebookかどっちにしようかなぁと様子見していました。Twitterは2008年の春に日本でサービスを開始、同じく2008年5月19日にFacebookが国内サービスをスタートし、mixi内でも次なるmixiだとして飛び出していく人は多かった。ただ、先述のように保守的な私はミニブログサービスでなければならないという固定概念と、だったらブログでいいじゃねえかという思いで、ひとり勝手に板挟みになっていたんですね。そういう人は少なくなかったはずです。mixiというユートピアが壊れたいま、次なるサービスに移っても、またそこが壊れてしまえば最初からやり直しになる。それが面倒で、恐ろしくて、日和見を決め込んだユーザーがたくさんいたんです。

 

コミュニケーションはますます見えなくなり、原点へ還っていく

 

いま、ネットの世界を見ていると、SNSどころかメッセージアプリでさらに便利に、身近に人が繋がり、かつ外部から見えにくい状態になっています。コミュニケーションは狭いからこそ、濃くて楽しい。世界的にウケるギャグ(ピエロのダンスやマジック)よりも、「知り合いがソシャゲに50万課金してマンション追い出されたんだって」のほうがおもしろい。笑っていいかどうかは別として、おもしろみがあるのは断然後者です。

 

もう、SNSやメッセージアプリを恐れる人は減りました。それどころか、企業の重役などが「お金儲けのために」SNSをやれといまごろ必死にいう始末です。完全に受け入れられたといっていいでしょう。

 

インターネット村社会の到来

 

いま思うのは、結局人にとって大切なのは人だ、ということなんです。もちろん、mixiのころからそうだと思ってましたし、携帯が和音の数を競い合っていた時代からそうだと思っていましたが、生まれたときからネットがあるデジタルネイティブにはわからないかもしれないので、改めて文章にしてみました。

 

ネット時代になっても、人は人と触れ合いたいのです。認められたいし、認めたいし、否定したりもしたい。ネットのなかった時代、それは村(ムラ)という形で成立していました。気心の知れたご近所さんと、好きか嫌いかは別として、一応は付き合っていられる程度の距離感で生活していた。

 

それが近代化に伴って、都市になった。都市部も農山村も、だだっ広い空間にポツポツと家があるのではなく、ビル街や住宅街という形で急速に距離を詰められ、好きでもない、種類も違う人間同士がギュッと寄せ集められるようになった。この息苦しさが、いまの日本にはあると思うわけです。不寛容さもそういうところから出てくる。適度に離れていれば、「まあ、どうでもいいか」で済むことが、家族ほどに近づいてしまったので看過できない。

 

そういった距離の近さから解放されるために生み出されたのが賃貸文化で、ただ間借りするのではなく、隣近所が誰かも知らない、マンション内で挨拶しないといった従来のコミュニケーションの放棄です。一方で人は人と触れ合いたいものですから、昔の村のように気心の知れた、よく似た人間同士で集まりをつくるようになる。でも、現実社会にはそんな土地はないのでネットの世界に建てはじめたんです。インターネット村社会の誕生です。場所は違えど、本質的には原点に還ってきちゃった。

 

これからの時代は、インターネット上に村がどんどんできていって、その村同士が交流・交易する時代になるのかもしれません。そのほうがいさかいもなく、経済的にも精神的にも文化的にもいいかもしれない。ただ、こうして現実の村や常識、価値観が崩壊すれば、不動産をはじめとした資産や学歴といった従来の価値が限りなくゼロになっちゃいますよね。だって、一律に比較することはもうないんですから。オラが村で一番の力持ちが、世界で一番の力持ちだったように、そのコミュニティで上位ならいいってことになっちゃう。学校に行く理由がなくなり、大企業を目指す意義が薄れ、仕事ってなんだっけ?という時代がくるかもしれません。そんな時代に生まれ育つ世代は、バリューネイティブ(価値時代の申し子)ってことになるのでしょうか。

 

こうして加速度的に破壊されていく常識に、大人になりはじめたデジタルネイティブたちが異を唱えるときがくるのか。それとも柔軟に受け入れるのか。デジタルネイティブには嫌悪感のない私も、バリューネイティブには少しゾッとするところがないではない。そんな我々昭和の人間を、時代遅れと笑い飛ばすデジタルネイティブは、バリューネイティブたちをどう評するのか。オジサンはそればかりが気になります。

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