昔のシューティングゲームは良かった。という声が聞かれる。確かにそうだろう。今、世界的にシューティングと言えばFPS(ファーストパーソンシューティング)であって、縦や横スクロールのシューティングは、現在のゲームの発達に取り残された、残滓とみなされている。
また、横スクロールではあるが、左右両方に自分で動き敵を倒すファンタジーゾーン等のシステムを発展させ、上下左右全方向に自在に動けるタイプのシューティングゲームが世界的には「普通」とみなされるようになってしまった。アドベンチャーゲームと並んで進化しないゲーム業界の盲腸が日本的シューティングゲームである事を忘れてはならない。
しかし、それだからシューティングは打ち捨てるべき駄作だとは思わないし、デススマイルズのような新作やオトメディウスのようなかつてのコナミの栄光を思い起こさせる続編的作品、トラブル・ウィッチーズのような同人ベースからアーケードに進出する叩き上げ作品、ストライクウィッチーズ(は殆ど知らないのですが)のようにタイアップ・キャラクターゲームも出ており、死んだジャンルとは言えない。
ただ、近年まで(もしくは現在も)シューティングゲームは先鋭化し、ゲームセンターなどではどう考えても職を持っていないような連中が台を陣取り延々とプレイしている。また、初心者が遊んでいると後ろでゴチャゴチャと文句を言ったり、肩越しに画面を指差して解説をしてくるなど、正直言ってどうしようもない連中の棺桶となってしまっていた。現在は家庭用に移植されたソフトがアーケード同様に稼動するので家庭用でも良い、下手な腕を見られたくない等の需要を掘り起こしている。更に、家庭用では世界中のプレイヤーランキングを見られたり、細々としたアップデートや追加要素、オンラインを活かしたCOOP(協力プレイ)、上手い人のリプレイデータのダウンロード(DLしたデータを再生すると、ムービーのように楽しめる)といった要素がアーケードを遥かに凌ぐ快適さと遊びの幅を約束している。
こういった風潮に対して異を唱える人間の口撃がこれだ。
「最近のSTGは処理落ちがないから面白くない」
処理落ちというのは、ゲームハードの性能を遥かに超える処理の量でゲームの進行が著しく遅滞する事。つまり、スローモーションになるということ。敵が多かったり、打ち出す弾が多いときに起こり、しっかりと画面を見ながら回避や対策を練ることができる。
という、無理をした結果を逆手に取った遊びの幅であるのだが、最近のハードは極めて高性能であるが為にこのような処理落ちは発生しない。オトメディウスでは、敢えて処理落ち風にゲームの進行をスローにしてくれるというファン感涙のシステムもあり、私自身も20年ほど前を思い出したものだった。しかし、処理落ちがないと面白くないという考え方はどうか。処理落ちしないことでより高速で迫力のある、面白い遊びないし遊びの幅が見出せるかもしれない。ハードが進化したことでゲームがつまらなくなったなんてとんでもない言い草だ。PONGでもやってろよジジイ共!と言われても仕方が無い。
彼らの多くはアーケードシューターで、ゲームセンターで自分の腕を見せびらかす事で自身の存在意義を確認するという類の人間だ。シューティング一筋20年ともなれば、最早その生き方を変えることも難しく、昨今の高性能ハードによる、ゲームセンターに行かずとも必要十分なシューティングゲームが遊べるという状況を受け入れられないのだ。もちろん、多くのシューターは現状を受け入れているし、私のような出戻りド下手野郎も居るので、ゼビウスやグラディウスと比べれば寂しい限りではあるが、シューティングゲームはそれなりに温かいジャンルであるのだが、アーケードシューティングを信奉する人間にはそれが許せない。他人が新しいハードを囲んで楽しそうにするのが許せないという輩が少数だが確実に居る。そんなだからシューティングは廃れたのだ。排他的なプレイヤーによる身内間での遊び。他者をコケにしたり、一般人を見下すような空気を作ったり。
格闘ゲームと同じで、このジャンルを生き返らせたいと思うのであれば、先ずはお前達が(つまり私も)アーケードゲームを辞めねばならない。しかし、現状で我々が辞めたらゲームセンターはプリクラ・UFOキャッチャー・麻雀・太鼓しか無くなってしまうんですがね…。
アーケードシューターは諦めて最新のハードを買う事をオススメします。シューティングメーカーはそういう方向を模索しているようですし。と言っても、STGはアーケード!と叫ぶ連中を利用して、シューティングゲームがあまり出ないハードのPS3信者が暴れているという部分もありますので、相当に根が深い。プロ市民との戦いのような状況ですね。
ただ、ただですね。昔のような大型筐体タイプで、ヘリのような小箱に乗っかって操縦桿を握りしめて敵を打ち落としたり、最近ではアフターバーナークライマックスのようなゲームはアーケードでしか遊べない物であり、あれを失わせるな!という運動には全面的に協力したい。体感型ゲームは、音ゲーだけじゃねえんだぞバカタレ!というオッサンの熱い思い、受け継ぐぜ!と言いますか、私もその頃からやってるクチですからね。10円弾きゲームで赤色の食券を当ててチョコバット買ったりしてましたし。今の40代の気持ちが分かるレアな20代中盤です。