事の発端は任天堂が次世代ゲーム機Wii Uで提供を開始したサービス「わらわら広場」
による。このサービスの利用者と自社の利用者層がほぼ同一であり、商標の侵害にあ
たるとして、3月22日付で居酒屋チェーン笑笑を展開するモンテローザが提訴した。
Wii Uを起動すると、ゲーム内にプレイヤーの分身Miiが現れる。このMiiがネット環境
を通じて集まり、簡単なコミュニケーションを行う場所を「わらわら広場」 とした任
天堂にとっては寝耳に水なのではなかろうか。社会一般の常識からいえば、居酒屋と
ゲームが同様の業態であるとは思えないし、サービスとしてもまるで異なる。ただ、
ご存知のとおり、モンテローザ社は意図的ともいえる他者の類似店舗を経営している
会社でもあって、社会通念という部分から追求することは無駄なのかもしれない。
過去にはワタミグループの「和民」とモンテローザの「魚民」問題、 三光マーケティ
ングフーズの「月の宴」と「月の雫」問題、「目利きの銀次」という店に至っては、
店名を完全にコピーして都内各所で展開しており、モラルとは、法治国家とは何だっ
たのかとこちらが混乱するほど。
このほかにも「つきじ喜代村すしざんまい」や「無添くら寿司(侍のキャラクターで
知られる)」を意識したのではないかと勘ぐってしまう「つきじすしざむらい」など
がグループ展開されている。
商標に関する争いは、小さい側がごねればごねるほど大企業のブランドイメージは低
下し、大局的にみて「損」となるため、納得のいかない和解が行われる傾向にあるが、
ゲーム業界屈指の法務部を備える任天堂が今後どのような動きをみせるのか注目であ
る。