シリーズアキバ

無課金が生み出したコンテンツの未来

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無課金が異常だと気づかないといけない

無課金。なんだか当たり前のように存在していますが、本当は異常なことなんです。だって、どんなものにだって費用は発生するから。それが発生しないということは、つまり誰かがその費用を負担してくれているっていうことです。無から有はでてきません。この世界にフルメタルなアルケミストよろしく、対価の不要な錬金術はないわけです。

 

お金を払わない人をどう定義しなおすか

本来商売をしている人たちからすると、お金を払わない人は、きて欲しくないというのが本音です。でも、そんなことをいったら世間に怒られるので、いい塩梅に相手をしないといけません。でも、相手をするのにもお金はかかります。一体どうすればいいのでしょう。必要経費と割り切るしかないんでしょうか。

お金を払わない人は、絶対に払いません。どんなに教育しても無駄です。そのコスト自体もまた、無駄になってしまう。ですから、優良な顧客だけが欲しい。世の企業はみんなそうやって金払いのいい客を探すのに躍起なのです。銀行もたくさん預けている人にはあれやこれやと優遇措置を講じます。車のディーラーもそうです。御用聞きに郵便局員がきたりします。みーんな本音では、金払いのいい客だけを相手にしたいのです。魚のいない池に糸を垂らすバカはいないのです。でも、本音はぶちまけられないのです。

そんな風に不良顧客を見て見ぬ振りをしているうちに、増長する客(もどき)があらわれます。試食コーナーでタダで食べて、買って行ってくれるお客さんと同じ接客をしろ(商品をタダで寄越せ)などという権利(?)を主張してくるわけです。そんな道理が通らないことは、多くの方に納得いただけると思います。

 

無課金がコンテンツの潮流を生み出した

どんなに頭にきても「お前らうっせーんだよ!乞食は出て行け!!」なんていえば大問題ですから、彼ら(コンテンツホルダー)は一計を案じました。ゲームの世界では顕著ですが、お金を出してくれるプレイヤーを「フェアな雰囲気が消し飛ばない範囲で」有利にしたのです。課金するプレイヤーが確率的、時間的に有利になるようにしたわけです。端的にいえば、無課金プレイヤーは課金プレイヤーに負けるための存在と定義した、ということです。これは画期的な方法です。お金を出さない奴はボコられるための木偶人形なのです。一方で、ボコられるとわかっていてもやり続ける道も用意します。時間をかけて遊んでくれる人がいれば、ユニークユーザー数が保たれますから、木偶人形がいなくなって際限のないプレイヤー同士の課金合戦になるのを(緩やかに)抑えることができます。

 

アダルトゲームの世界に起きた変化

近年、アダルトゲームの世界は「年増キャラ」大増量中だそうです。かつて、アダルトゲームといえば、眼球が頭蓋骨の4割はしめるであろう低身長な巨眼女子が主だったのですが、いまや人妻だのなんだのと年増キャラが増えたそうです。これは単なるブームなのかといえば、そうではないと私は考えます。こういったキャラは昔から男性向け漫画雑誌の鉄板なんです。年増物、不倫物というのは嫌う人も多いのに、売り上げが確かな不思議なジャンルです。小汚いオッサンと年増の女性という組み合わせや、お姉さんと若い男という組み合わせが誌面を埋め尽くします。以前はこのパターンしかないのか? 芸がないなあと思いましたが、何十年も鉄板であり続けるのにはワケがあるんですね。やっぱり、それが売れるからです。数字として見えれば、開発者でも編集者でも納得させやすいのは間違いない。

どんなに世間が小学生や中学生に見えるような(設定上)成人女性を求めていても、彼らがお金を出して雑誌を買ってくれなければ、アンケートを出してくれなければ、出版社としては動きようがありませんからね。ここでも大切なのは訪問客の数ではなく、買ってくれる優良顧客の数であり、つまりは数字としての「金額」なのです。ファンの総数でも、シェアの割合でもありません。版元に入ってくる金額がすべてです。購入率(コンバージョン率)だのといった割合ではなく、金額がすべてです。

近年、アダルトゲームが中年のオッサンが好きそうな展開、キャラ、設定だらけになってきたのは、素直にお金を出して買ってくれるのが中年のオッサンだからです。市場が見えざる手が、クリエイターを選別したのです。これは自然で正しいことだと思うのですが、なぜか批判の声が挙がっています。おめめがパッチリした低身長キャラが少ないことに怒り心頭なツイートなども見かけますけれども、それはあなたがたが買わないからです。まあ、ひとりやふたり買ったところで市場が急速に広がるかといえばそうはならないでしょうが、少なくとも無課金で違法に読むよりは随分と市場復活には寄与するでしょう。

間男が出てくる作品、NTRなどという作品だと、1620円と設定されていてもオッサンは買う。買えるだけの資力がある。だから、そこの市場に参入が相次ぐ。これを批判することはできません。資本主義の国なのですから、お金を払える人が正しいのです。「僕たちは学生なので払えません。ダウンロードサイトで読みますが、描いてください」は通用しないのです。そこはどんなに人口がいようとも、市場がないのですから。参入余地はゼロです。そこを理解できることが大切で、理解できる大人が「1620円? 安いな!」といって買っていくわけです。

困りましたね。はやく理解をすすめるなりマインドセットするなりして、自分で対価を払えるようになることでしか現状は変わらないと思います。もっとも、違法ダウンロードをしまくって、コンテンツビジネスを殺し、現状を変えるという手もありますが、ただの自爆テロで誰も得をしませんからやめたほうが無難です。

 

コンテンツにお金を払う人は同一人物かもしれない

ふと思ったこととして、実はコンテンツにお金を払っている人は今も昔も同一人物なんじゃないかというものがあります。2000年ごろに流行ったコンテンツ、美少女、女子高生なんかが好きだった人たちが20年近く経ったいま、30代、40代になり、(アダルト)コンテンツといえばやっぱり年増の成人女性だよな!と、同世代へ好みがシフトしたとしたらどうでしょう。彼らは年齢が上がると同時に、守備範囲も上がります。一方で、若い子から年増まで構わないという方向に広がるパターンもありますし、一対一の純粋な恋愛しか受け入れられない!という価値観が人生経験のなかで崩れ、不純な恋愛もOKという方向に進んだ人もいるでしょう。結果として、30、40代の多くが受け入れられるコアコンテンツが「年増もの」になった可能性すらあります。

これまでは「若い美少女+◯◯」がコンテンツの中心で、◯◯に学園ものですとか、魔法少女というものが入ったのですが、これからは「年増+◯◯」がコアになる。年増キャラのツマ(刺身についてる大根とかの)として、美少女キャラが出てくるくらいの逆転現象が起きている。商業、同人の世界では、中心に据えられるものが知らぬ間に移り変わってしまった。これも、見えざる手によるものでしょうか。

欲しいものがあったら金を出す習慣を持っている人間だけがコンテンツに抵抗なくお金を落としているとしたら、これから先もブームの中心は彼ら(私もですけれども)がつくるということになります。彼らは1本8800円のアダルトゲームを複数本。月末金曜に買いに行く習慣を持っていたわけですから、ダウンロードで1600円、2000円で遊べるとなれば、それはもうおおよろこびだと思います。コンテンツはタダと思って育った新生代とは、もとより感覚、土壌が違うのです。

自分や自分の世代がコンテンツの中心になりたい!と思ったらば、やはりお金を出すしかありません。世の中を作り変えるのはいまのところお金でしかないので、稼ぐことも使うこともキライだとわがままをいっているうちに、自分の好きなコンテンツが枯渇してしまいますよ。

まあ、無課金は悪ではありませんが、春に撒くべき種もみを食べているのと同じだということだけは承知しておいてもらいたいものです。

コメント

    • はらだいこ
    • 2018年 3月 07日

    こんにちわ。成人向け作品のライターをしている者です。以前からアダルトゲームでの熟女モノの勢いは感じていましたが、児童ポルノ規制周りの対策だと思っていましたが、確かにユーザーの高齢化という線はありそうですね。若い頃はロリ美少女が好きでも歳食ったら年齢の近い美熟女とイチャコラしたいという願望が芽生えるというのは分かります。私も学生時代はラノベの学園モノを読み耽りましたが、最近はいまいち中高生の登場人物に感情移入できず、ほとんど読んでいません。しかし、ボーイミーツガール物自体は好きなのでラノベ自体は数は減りましたが、読み続けています。人間、嗜好は変化してもコンテンツそのものからは中々離れないモノなのでユーザーの高齢化がコンテンツの流行に影響を与えるというのはありそうです。勉強になりました。ありがとうございます。

      • UR
      • 2018年 4月 20日

      返信が遅くなりましてすいません。

      若年だと守備範囲は自分か自分より若い世代までで、
      ロリやペド嗜好がなければティーン等、
      学生までの恋愛しか想像できませんから当然ですが、
      年齢が増しても守備範囲がスライドするのではなく、
      純粋に上下に広がり、恋愛経験も増えてNTR等の
      ピュアな恋愛観以外の横方向にも広がりますからね。

      結果、若いころに「散々見た」手垢や段取りの多い
      ピュアな作品よりもっと即物的で直感的な性コンテンツが
      好まれ出したのかもしれないなあ、とも思います。

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