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なぜいま、スト2なのか

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なぜいまスト2なのか。世間のいうとおり、スト2のような単純なゲームしかできない人間、懐古主義の年寄りがやっているだけなのか。そのあたりを含め、なぜいまスト2なのかという疑問にお答えしていきたいと思います。

 

実はスト2である必要はない

格闘ゲームにはハメがどうの、起き攻めがどうの、コマンド受付がどうの……。その都度改善と称してプレイヤーに優しい仕様にしてきた経緯があります。結果として、格闘ゲームの持つ魅力や本質が見えにくくなってしまった。格闘ゲームの魅力とは、対人戦であることなのです。相手が人だからこそ、ときに信じられない発想力や技術を駆使したり、またあるときは間尺にあわないことをしてくる。だからこそおもしろい。そして、そこに人の輪ができる。これが格闘ゲームの魅力なのです。この条件を満たすことができさえすれば、何も30年近く前のゲームを遊ぶ必要などないわけです。

 

しかし、スト2でなければならない

スト2を長く遊んでいるプレイヤーは「自分はそんなに上手くない」と仰られる方が多い。実際はビックリするほど器用に操作するのですが、これは、スト2が指先の器用さだけで勝敗が決さないことを示しているといえます。

 

スト2はシンプルな作品です。だからこそ、それぞれの発想力や人間性が出る。システムやコマンド(技や強い行動)が増えれば増えるほどそれらに依拠して戦わねばならなくなり、効率化の名のもとに、みな動きが同じになっていく。その中で独自の文化が生成され、成功することもあるのですが、大抵の場合ゲームを通じて対戦相手と対話する要素が薄れていってしまうのです。システムが増えれば増えるほど、一枚、また一枚と壁や扉が設けられ、それを開くことが目的化して、人と人との対話を行う前にキャラの体力が尽き、勝敗が決してしまう。また、あらゆる壁を超えて人と人との対話にいたる前にブームが去る、新しいシステムが導入されるなどの事情から「指先器用選手権」に終始してしまうことが多いのです。

 

スト2にはそれらがほぼない。稼働から数十年という月日が流れ、システムもシンプルなため、負けるのは指先の器用さというよりも自身の精神的未熟さ、研究不足といった姿勢の問題であることがほとんどです。姿勢とはつまり、人間性であり、それまで歩んできた人生です。敗戦は自身の人生の否定であって、そこには後悔と怨嗟がつきまとうわけです。自身(自信)を守る緩衝材が一切なく、人と人が抜き身の状態でぶつかりあうことがどれほど苦しく、恐ろしいことか。その恐怖を飲み込んで対戦に挑み、乗り越えたときの達成感は格別なものがあります。これには初動のすばやさ(稼働開始からいかに上手くなり、廃れるまでに狩れるか)や、指先の器用さを磨いただけのときとは比べものにならない味があり、一度味わってしまうと抜け出せなくなってしまうのです。

 

なぜいまだスト2を遊ぶプレイヤーがいるのか

将棋や麻雀、何百年もの間楽しまれているゲームには「ある共通点」があります。それは、最適解がないということです。対策に対策が重ねられたかと思えば、次の瞬間、いままで積み上げてきたものを突き崩す。堂々巡りのゲームです。この終わりのない研究に加えて、先にも述べましたとおり、スト2は人と人との対話、そして自分自身との闘いのゲームです。ゲームの内容ではなく、人や自身との闘いなのですからどうあっても明確なゴールはみつけられません。自分自身を強くしたいという思いがある限り、終わらせることはできても、終わりはないのです。

 

さらにスト2にはこの終わらない闘いに拍車をかける要素があります。その要素とは初心者ラッキーパンチです。100連勝しても格下相手に何かの拍子で1敗することもあるでしょう。それを不運と切り捨てず、自身の未熟と捉えることで、心と体が練磨されていく。スト2には30年間近く一分の隙も許さず、己を磨いてきた人間がそこかしこにいます。このような手合いと対戦すれば、自然とスト2でなければならない理由がおわかりになるかと思います。スト2である必要はないが、スト2でなければならない理由が。

 

ここまでスト2がただただ辛いゲームであるかのように脅してまいりましたが、実のところそんなことはありません。単純に心の在りようによって、初心者でも上級者に勝てるシンプルで逆転性の高いゲームといえます。シンプルゆえ敷居はないに等しいですから、はじめは気軽に楽しんでいただければと思います。その中で、精神面も含めて強くなっていってくれれば、と考える次第です。

 

人生とまでいかずとも、格闘ゲームが上手くなりたいという方、格闘ゲームの深淵をのぞいてみたいという方は、ぜひ一度スト2をプレイされることをオススメいたします。

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コメント

    • マツオカ君主
    • 2016年 4月 01日

    なるほど、トッププレイヤーほど「自分は上手くない」と言う言葉の裏となぜスト2という格ゲーがここまで愛されてきているのかが心の底から理解できました。
    スト2の歴史は素晴らしいですね

    • Yoshiki_Uryuu
      • Yoshiki_Uryuu
      • 2016年 4月 03日

      スト2の歴史がそのまま、格闘ゲームの発展の歴史であったともいえますからね。
      どこでどんな操作をするといい、ということをひとつひとつ積み上げてきたプレイヤーが
      いまだ現役であることもスト2の魅力を形作っているのかもしれません。

    • JC,taka
    • 2016年 6月 06日

    てすと

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