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オタは異常者なのか?恋愛と結婚の視座より

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シリーズアキバ大変長らくお待たせいたしました。先週末にPCが壊れて以降修復、大学の課題などが重なりまして更新が停滞しておりました。今回は、恋愛をしないから最近の若者特にオタは異常だとされる事がありますが、それは本当か?ということを考えてみたいと思います。


はじめに、恋愛は今まで形を変えずに連綿と受け継がれた伝統的なものなのでしょうか?
もう一つ挙げるならば、恋愛及びそれに伴う性交は動物の本能だからそれを忘れる、抑圧する人間は欠陥商品だという考え方。種の保存は生き物の最終目的だから・・・などという理由は腑に落ちやすいわけですが、それは事実か?


まずは、この2点から見てみましょう。恋愛と結婚、これは元々完全に別物でありました。少なくとも中世までは明確に。18世紀までは当然のように。それ以降も恋愛とは心を許しあう二人が友人の枠組みを超えた交友を行うことであり、結婚とは子孫を残す行為でした。


極端に言えば、結婚と恋愛は相反するものだったと言っても良いでしょう。2人の深い交友とは性差を超えます。ここには基本的に性的な関係はありません。当時は真の恋愛は心の触れ合いであり、そこに性行為という快楽主義を持ち込むことはタブーとされていました。今で言うプラトニックといったものに当てはまるかもしれませんね。


心の触れ合いとは、互いに相手を想い、無償の愛を提供し続けることで完成します。無理やり当てはめるのであれば、2次オタはこの無償の愛を2次元に提供しているといえるのではないでしょうか。


少し時代を遡りまして、中世ヨーロッパにおける恋愛についての研究を紐解いてみましたところ、この時代のヨーロッパでは、恋愛とは社会的上位層のみがおこなうものであったようです。その社会的上位層に位置する存在といえば、男の場合は貴族・・・「騎士」ですね。皆さんも存じ上げますとおり、騎士には色々なルールがあります。それが「騎士道」です。プリンセスを前にしてひざまずき、手の甲にキスをするのも忠誠を誓う騎士道のルールに則った行為なんです。


その騎士道には精神鍛錬の理念が埋め込まれていたのです。
通常騎士たちは、自分よりも身分が高く、既婚の貴婦人と恋愛するように。とされていました。ここに精神を鍛えるシステムがあり、そのシステムとは身分が違う上に既婚者という相手を前にし、いかに性欲を抑え、忠誠、礼儀を示すか。という事で発動します。恋愛は今とまったく違う形式であったと言えましょう。いかに深く愛しても貴婦人方は振り向いてくれないわけですから。


これに相反するものとして置かれたのが結婚であり、家族であります。家族は生殖機関であり、心を通わせる場所ではありませんでした。


時代を追っていきますと、次に恋愛と結婚の関係性が変わりだすのは17~18世紀。
勃興し始めた中産階級が騎士道に憧れ、自らが宮廷恋愛小説などを書き上げて、それをまた中産階級が読み、恋愛への憧れと貴族の優雅な生活をダブらせて夢を描き、自らも実践しようと努力し始めたのです。
この当時は恋愛=未婚の男女間で行われる駆け引きを交えた雅な遊戯
という考え方があったようです。即ち、結婚が決まった瞬間、恋愛という遊戯は終わるわけで、今のように結婚後も恋愛を引きずるような事はしなかったと。


最後に劇的な変化を迎えたのが18~19世紀の恋愛です。
この頃になると、身分や地縁が消失し始め、人口の多数派であった階層が成り行きでの結婚をしなくなりました。成り行きでの結婚というのは、同じ村で一生を終える当時の人たちは、思春期にもなると、今のように異性を追い求めずとも、自然と伴侶が出来るという流れでの結婚を指します。


こういった社会の変化の中、当然貴族も地位を下げ、権力を弱めていきます。同時に騎士道への憧れも消えうせ、貴族の優雅さとダブらせて夢見ていた恋愛の形にも飽きが来ます。そこで変わり始めた時代に適応するようにルール無用の刹那的な恋愛合戦が幕を開けるわけです。


はっきり申し上げまして、今の時代の恋愛体系は、カオスですね。恋愛市場に誰もが参戦できるという見方をすれば恋愛の開放と言えなくもないですが、自分で相手を探す。また、そのために多くのものを犠牲にするという事は人生の重荷になりかねませんね。まぁ、個人の価値観でしょうが。


19世紀以降はルール無用の恋愛合戦に再度規範を与えようと「性交プロセス」なるものが登場します。万人に受け入れられる規範は、欲望の体現である「性交」しかなかった。と、裏を返せば言えるでしょう。このプロセスによって恋愛の最終目的は心の触れ合いではなく「性交」に置き換わり、行為の結果として生まれる子供によって生殖機関である家族へと移行するようになります。

現在、恋愛と結婚はセットとなっていますが、昔はセットではなかった。性行為よりも深い心の触れ合いを求める純粋な愛に走る人間の方が多かった。しかし、その高度な精神活動はミドルクラス以下の人口ピラミッドで言う大多数には理解出来る代物ではなかった。その為に原始的な欲望の塊に読み替えることで、恋愛の普及が行われたと。


オタクエリート論はあまり好きではないのですが、過去の経緯から見ても、純粋な愛を表現、理解するのは常に精神活動の面での勝利者であることから、オタもそうなのかもしれませんね。だからと言って、威張るようなものでもありませんが。


近年の恋愛でも見て取れますように、恋愛は普遍ではありません。結婚とは、恋愛結婚だ。と言われだしたのはここ最近のことです。数十年前にはお見合い結婚が多数はであったという話も耳にしますよね。この対最近つくられた恋愛体系に乗っていないからといって、人格を否定するのはいくらなんでも横暴ですね。


性交は動物の本能・・・などという理由付けも、頭にきたから殺すとか、食いたかったから盗るとか、ヤリたかったから犯すなどという最低次元の本能的行為を肯定してしまいませんかね?しませんか。そうですかw
人間は理性的に行動できる生き物であり、特定の欲望に対し代替物で満足できる動物でもあります。そんなことは周知の事実で、何を今更と誰もが思うでしょう。


じゃあ、オタは理性的に性欲を封じているか、3次元を2次元で代替しているから、3次元の恋愛に興味がなくても当然だろう?と。明快な説明だと思いますがね。この考え方は多くの社会学者と大衆には理解できないようです。腑に落ち易いのになぜ?恐らく自分がやっていることをしていないから。なんて伝統志向が飛び出すのでしょう。真の伝統志向をやるならば17世紀の騎士ですよ。

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