守るというのは良いでしょう。活かすというのは具体的にどうするつもりなんだろうか。ハラん中ではバカにして、特段の手も打たず、都合のいいときだけ手柄にする。そういった事がコンテンツを活かし、日本人に誇りを与えるという事なんでしょうか。
活かすというのは、良さを知っている人間がやる仕事であって、素材の何たるかを知らない料理人がどうこうできる物ではないはずです。
あまり知られていませんが、最も簡単な活かし方をしているのは、自衛隊だったりします。
更に知られていませんが、軍オタにはマンガやアニメが好きな人間も少なくないのです。
また、モデラー(プラモデル等を趣味にする)や、ゲーマー等も何だかんだで軍事関係の物と触れる事が多く、詳しくはないが知っているオタクが多いのもこの分野。
書店に行けば分かりますが、軍事関係の月刊誌等の表紙には、勇壮な軍人の写真ではなく、AV女優や萌えキャラが配されている事が多いのです。(戦闘機や戦車の写真の物の方が多いのかもしれませんが)
航空ショーに使われる機体には有名なイラストレーターや漫画家のノーズアートが施されたりしています。米空軍の戦闘機に色っぽい女性の絵が描かれているといった物を映画か何かで皆さんも見た事があるでしょう。あれを日本風に再現すると、アニメ調の物になるのでしょう。ヱヴァンゲリオンで有名な貞本氏のノーズアートもあったりします。
さて、軍事オタとアニメの話題はここまでにして、本題に入ります。自衛隊はイラクでの作戦遂行中に、給水車が襲われる危険性があるとしてある作戦を思いつきました。それが、日本の誇るコンテンツを最も、平和的に活かすという本題に繋がっているわけです。(詳しくは外務省のサイトの該当ページを参照)
自衛隊はイラクの給水車にキャプテン翼のステッカーを貼り付けたわけです。イラクでも人気のこのマンガは、日本の至宝であると同時に、イラク国民にとっても心です。日本の給水車を攻撃する事は、作品への冒涜であり、自国民への攻撃となるわけで、そんな心象の悪い事は出来ない。また、どこからどう見ても「日本」の車両である事がアピールできるので、間違って襲撃される事もありませんでした。
コンテンツ産業を守り、伸ばすという事は、敵性勢力を潰すという戦争に挑むという事です。コピーの廃絶は当然ですが、他のコンテンツ産業と経済的な全面戦争をするわけです。勿論、それはそれで非難する事は出来ませんが、コンテンツの有効活用、平和利用という面では自衛隊は一歩進んでおり、実に興味深いコンテンツの利用法だと私は感じました。
守るでもなく、攻めるでもない。日本独自の調和を持った戦略、進出があると思います。
何も正攻法でやる必要はありません。音楽や芸術、食事、被服が国境を越えて我々の生活を変えてきたように、文化は他国を平和的に侵食する国境のない病魔です。御旗を掲げて全面戦争をする必要など全く無いんです。
コンテンツの良さを知っている人間の(コンテンツキャリアーとでも言うんでしょうか?)、日々の生活がそっくりそのままゲリラ活動になるわけです。箱物も要らなければ、分かってない人材も要らない。我々が節度を持って趣味に興じているだけで良いんです。
最近その節度が失われ、巨大資本の攻撃的戦略によって自壊や劣化の憂き目に遭っていますが…。
我々なりの楽しみ方、活かし方を真剣に考えなければ、今まで以上の形骸化が進行してしまうかもしれない。
少しでいいので、皆さんにも考えていただければ幸いです。