アニメの時代は終わったままなのか!などと、年寄り臭い事を言って煽ってみます。自分も年と言う事でしょうかね。こんな事を言うようでは耄碌したといわれて仕方ない。
2000年頃からアニメスタジオにCGが導入されてきた。これは革命的な出来事で、
「スーファミからプレステへ」あの時代の転換を思い起こさせる。
しかし、その結果完成したのが酷く作画の狂った作品だった。
PCを使う事に慣れていない&納期短縮が可能という事で粗製乱造が始まった。
2000年以降の作画崩壊で興が削がれ、アニメから離れた人間も多いのではないか。
最近ではアニメのCG技術も向上し、かつてのような事も少なくなったが、それでもTBSの某人気魔法美少女アニメ等では作画の乱れが失笑レベルだった。それでも見る人間は見るし、神アニメとか言ってしまう。まあ、数日前から配布しているPDFにも載っていますが、視聴率的に「現代の神アニメ!<関西ローカルの深夜27時アニメ」ですからね。ここから先は語りません。各々で察して頂きたい。
さて、セル画の魔力というのは、アニメはマンガに絵的に勝てないジレンマからです。マンガ品質のアニメなんてそうそう出てこない。自分が知っていて思いつくものは、「ニニンがシノブ伝」でしょうか。あまり描き込まれないマンガでしたし、アニメの方がスッキリした印象を受けた。
脱線しましたが、つまりは「手描き」に「CG」は勝てんのです。セルの素晴らしさ、凄まじさはかつての作品群及び宮崎作品でもご覧いただければ。と。手で一点ずつ完璧に仕上げるのと、CGで間を上手く間引いて描いちゃうのとではやはり違ってくる。
アニメ「美味しんぼ」の料理や陶器の絵なんて最早、「超写実」です。現物すら凌駕する程に食欲を掻き立てる場合がチラホラ。手描きではこういう職人が居るんですよね。簡素化された現代に、職人芸はまだ生きているのか。動くだけで面白い「アニメーション」はどこに行ったか。
「死の翼 アルバトロス」なんて23分程度の「ルパン」1話分とはとても思えない充足感がある。絵もそうだが、内容も練り込まれていた。そういった部分でも「セル画」時代の、アナログな職人の凄まじさを感じる。アニメオリジナルのストーリーに輝きがあったのもこの時代か。
既製品のように仕上げられた現代の作家、資本、アニメーターではもうこの境地に達する事は出来ないのだろうか。だとすれば悲しい限りだ。アニメの限界を感じる。昔のアニメは、子供向けであり、子供向けであると言う事は大人も理解し、楽しめると言う事。決して子供騙しじゃあない。そして案外子供は騙されないモンだったりもする。
しかし今はどうだろうか。子供騙しを容認する「オタク」が市民権を得てしまい、そいつらを相手にしてれば良いという磐石さがある。子供騙されの専門家がオタクになってしまった。かつてのオタクは手前勝手に作品を選び、ザブングルから北斗の拳、セーラームーンまで燃えに萌えていたが、今や用意されたコース料理を店の指定通りに消費しているに過ぎないのではなかろうか。
どんなにマイナーな作品を探してきたところで、そこには店(企業)の思惑があり、コース料理(ここでこう萌えて下さいね)を食わされているのであって、既にオタクでも何でもない。総菜屋で買ってきた料理を皿に盛り付け、料理をしたとうそぶく最近の女に似ている。自分で新たな作品を見つけ、楽しみたいという探究心、創作意欲が極端に薄まった。オタクの敷居が下がった事で、絶対数ではなく、相対的に減少したように見える。少数派はどの時代でも迫害される。オタクに迫害されるオタクはどこで生きればいいのでしょうね。
今一番売れているマンガは?という問いに、「ワンピース」と言えないのがオタク。言えるのは一般人。最新刊発行数290万部という数字を見れば分かるが、当然ワンピである。しかし、ワンピはマンガではないのだそうだ。一般人ウケを狙った駄作というのが最近のオタクを自称している人間の評価だという(私の周りでは)。これを見れば分かるように、かつてのオタクが北斗やドラゴンボール、キン肉マンを「除外」するような事があったろうか。但し「ガンダム」は有名すぎるから除く。なんて言われたらガノタが怒るのに、「ワンピ」は除くのかい。
オタクが横暴になったのがアニメを腐らせた根本原因と見ていい。
オタク側がメニューを出しているのだ。「今日は懐石で頼む」と。
つまり、懐石(用意された萌えアニメ)以外は評価しないと明言している。
フランス料理やイタリア料理、中華、日本の定食屋、カレー、うどんそば…といった料理は、彼らからすれば評価に値しないゴミクズ。それらを愛する人間は、味の分からぬ愚か者ということになる。料理屋はせっせと懐石を作るだろう。懐石しか知らん食通ぶったオタクがのさばる。懐石料理屋が増えればミーハーな食通が増える、懐石屋が儲かる…。メビウスリングではないか。
ワンピを一般人の読み物wと嫌う連中も、最早、一般人に変わらん生き物と知れ。
今、長くオタクをやっている人間はこの状況をどう思っているのだろう。
どうも思ってないか。正直私もどうでもいい。私からすれば、そういった食通はオタク足りえずと思って視界から消しているわけだし。ただ、まだそういった食通オタクと接する機会が多いから、向こうに古臭いと小バカにされて頭に来る事はあるが。古臭くねえよ。お前らが古いモンを知らんだけだろ。と。
古きも新しきも知ってこそオタクだと思うんだけど、そういうのは理解されませんね。懐石こそ傑作!創作イタリアンこそ傑作!みたいな。パスタを和風のツユの上に泳がせ、箸で食わされる店とかね。ああいうオシャレな感じの。今の流行、奇を衒う目先の物ばかり追い回しても疲れるばかりに思うけどなぁ。要石をどっかと置いて、それからそういう物を味わった方が良いよ。という老婆心は、ジジオタw等と言われる時代。ここ5年ばかしで生きにくくなりましたね。
【蛇足】
今一番見ていて面白いのが「ポケモン」だ。作画の安心感、オリジナルストーリーの鉄板ぶり(ドロンボー一家的な)、いちいち動きや表情といった細部に見られる遊び心と、アニメの世界で30年間変わらぬ王道アニメぶりが発揮されている。奇を衒うばかりがアニメじゃない。王道を往く方が遥かに難しいこともある。ポケモンはよくやっている。現代のタイムボカンとでも言うべきか。