コミケ当日ですし、コミケにまつわる話題。 マンガの著作権を論じるなどと言って、コミケの土台を作った某氏がかつて様々な著作を残した。それらを読むに、幾らそういった試みが今まで無かったとはいえ、あまりにもお粗末だ。
こういった連中が、これ見よがしに語る「マンガ論」などよりも、文章としては稚拙でも、無知が滲み出る内容だったとしても、「ハルヒ」「らき☆すた」「けいおん!」の面白さを説いたブログの方が遥かに価値があるとすら感じる。 感動といった心の動きを直接したためる行為は、二次著作の本質ではないか。権威化や売名といった、小汚い発想の無い、純粋さがそこにはある。
但し、「神アニメ」だとか、「神マンガ」みたいなワンフレーズの物や、判でもついたのかと思うほど同じような内容が並ぶ場合が多いので、そういう物は1つ2つ見れば事足りるのではあるが。
【人のふんどしと猿真似】
権威によって自身の論の崇高さを示そうとしつつも、実際のところ学問を知らんからどこかから拾ってきた、若しくは、今の時代少しでも学のある人間なら常識として知っている範疇の物事しか語っていない。正直な感想としては、こんなモンでマンガ界の論壇、マンガの王として君臨し、メシが食えたのだから10年前はラクでラクでよろしかったですね。と。
手厳しいように思われるかもしれないが、今更こういった数年前の研究を読む価値は、研究史として以外に皆無だろう。研究史などとカッコ良く言っているが、こんな水準のものならばそこら辺の掲示板に張り付いているちょっと知識のあるオタクなら6~8ヶ月あれば用意できる。実に下らない。同人の親玉なら、中身も同人誌(一杯飲み屋の野球談義)で商業誌を出してもいいのかと。
【お前の物は俺の物、権利の本質を知らんジャイアン達】
決定的に許せないのが、「著作権」への認識の甘さである。
「自然の写真には著作権は無い」のだから、引用元を明記してやれば勝手に使ったって許される。といったような認識が飛び出してくる辺り、個人のサイトや同人誌で利益の出ない範囲でチョロチョロやるのとはワケが違うんだぞと言ってやらんと、年寄りには分からないのかもしれない。本文中ではゲームソフトの背景に人様の自然写真を使って怒る方がオカシイと言わんばかりだった。
創立当初のコミケの形は失われた、形骸化したコミケに何の価値がある、下らない、マナーも悪い…といった非難がなされる。一部は批判であろうし、当然マナーの問題も気にはなるが、人様の作品を使って自身を表現する行為を正当化する理由なぞ無い。常に後ろめたさと戦うべきだし、脱法行為と分かっていても表現したいという欲求と愛情が、無理を通して道理が引っ込ませるという「同人誌」の本質を失って何が「マンガ学」で、何が「コミケ」だ。
マンガ学や同人学などとのたまう連中が、「出来損ないの大学サークル」でしかないと改めて実感する事が出来る。自分達の信じている事が正しい、若しくは、もしも正しくないのなら正しくしてやるという横暴さが、学問を気取りながらもいつまでも低空飛行なこの分野の根幹を成していると思うと恥ずかしい。こういった腐れ権威共は早々に退場していただきたい。その為にも、彼らの理想像と認識が、現状と酷く乖離していく事は望ましくもある。彼らが居なくとも、研究はされていく。それどころか、彼らが居るからこそ手が出せないのだ。
【全てに著作権を与え、全てを失う】
今でも恐らく生き残ってる連中はこういった甘い認識なのだろうが、こんな論を今の掲示板などにタレ流した日には、方々の識者に袋叩きだろう。二次著作、三次著作が将来的に正規の著作物だと認められる日が来るだろう。などと結ぶに至っては、肩透かしどころか腰砕けだ。決まり手は「つきひざ」でも構わない。
二次、三次の著作物が正規のマンガや音楽と同等の権利を与えられるという事はどういう事か。それは、著作権の消滅を意味する。いわゆるパクリが一本立ちすれば、そのパクリも一本立ちする。そのまたパクリも正規の商品なのである。あらゆる作品に権利が認められるということは、あらゆる作品に権利が無いのと同じではないか。一体、何を想定してこんな事を平然と語っているのか。驚きだ。
【近年のコミケについての年寄りの認識】
こういった、そもそもがアホンダラな年寄りが、偉そうに世相を切るわけだから、間抜けな事を言うのは目に見えている。近年のコミケはエロ本博覧会などと揶揄されるが、私としては、マンガの読み方を著者でもないのに勝手に指定する「副読本」売り時代の方が遥かに不健全だったと思っている。下らない。実に下らない。どうして文学研究が通ってきた失敗の道を歩みたがるのか。自分が偉いと証明する為の道具としてマンガを選ぶ連中が居てほとほと愛想が尽きた。マンガや表現に枷を付けないで欲しい。
【初期のマンガ研究は現在の公式たり得ない】
「これ」といって捕まえきれない全体がマンガであって同人である。ということがどうして許せないのだろうか。数式で示せなければ全てが間違いか。こじつけや、権威でがんじがらめにして、その枠組みから漏れるものは面白くない。だなんて、全く下らん発想だ。とっとと根絶やしにしなければ、マンガ後進国に追いつかれかねない。もっとも、こんな事を言っている連中は、時折新書なんかに散見される程度で、私同様にマンガ界に影響を与えるだけの力など持ち合わせてはいないのだが。
どうも、学問というものを志向する人間の多くは、答えが分からない事を素直に述べられない気位の高い連中が多いようだ。私に言わせれば、そういった妄言や予測、嘘を並べて満足するようなエセ研究の方が価値が無いと思うが。分からない物は分からないとすべきだし、勝手な妄言で研究の道筋を誤らせないで欲しい。また、一個人及び数名の団体の「感想」程度で学問とするなんてのも恥ずかしいので辞めて欲しい。