格闘ゲーム黄金期を知っていると、やはり「衰退」という発想になるのでしょうね。スクリューが出来るだけで、半端なNガイルをボコボコに出来、結果リアルでボコボコにされかける。そんな黄金期(?)。
格闘ゲームは没落した、もうダメだ。そう言われて久しい。
そういったペシミストの意見は基本的に以下にまとめることが出来る。
1)ゲームセンターという環境が足を遠のかせる
2)上手い人間のせいで初心者が入りにくい
3)ゲームシステムが難しくなり、参入障壁が高い
4)練習する環境が無い
5)お金がかかりすぎる
結論から述べれば、私は格闘ゲームは没落したとは思わない。もっとも、ゲームの内容が進化していなかったり、マンネリ化したりといった問題点はあると思う。しかし、私が取り上げたい問題はプレイヤーの人口と精神的な部分に大きく依拠した「没落」であって、ゲームの内容に関してはあまり踏み込まないつもりでいる。
まず、人口に関してであるが、かつての社会現象、「スト?」や「バーチャ」時代が異常であり、現況は至って普通なのではないかと考えている。あの当時を基準とした業界のビジネスモデルは既に破綻しているといえるが、我々はあのころを基本として考えてはいけない。
また、乱暴に言ってしまえば、上記の5つ全てが言い訳でしかなく、甘えである。なぜならば、ゲームセンターの環境の悪さは今に始まったことではなく、以前の方が酷かった。ロケーションが減少したとはいえ、その分は家庭用が補っているし、オンラインも多くのゲームで実装されている。
今ほど恵まれた環境は無いのであって、上手い人ばかりで勝てないから楽しくないというのは、自分の努力不足(練習・対戦仲間探し等)が原因で、他者のせいにするべきものではない。私は秋葉原で勝てるくらいにスト?が上手くなりたいと考えた際、すぐにイベントを主催し、ネットで相手を集め、毎週対戦会に参加した。そうすることでプレイヤーも増えたし、知人も出来た。その中でゲームにおける「ゲーム外の面白さ」を知ったことは本当にいい経験だったと思う。単にゲームだけやっていたら、今ほどまでスト?はやってなかったろう。
上手い人には聞くくらいの度胸が必要だし、手間もいる。だからやらないのではなく、高い金を出してでもそこで形成されるコミュニティに属す価値があると考えて欲しい。ここに気付いた人間は、皆一様に中級者の壁を乗り越えていく。
ゲームシステムが難解であれば、古いゲームを遊べばよい。古いゲームは絵が汚いから嫌だというのであれば、新しいゲームを我慢して遊ぶしかない。どちらも嫌だというのはワガママでしかない。このワガママの背景には、とにかくラクをして勝ちたいという気持ちがあるわけで、操作がラクならラクなりに上手い人に食われて終わることに気付いて欲しい。
新しいゲームを遊ぶ上で覚悟しなければならない弊害というものもある。それは更新だ。
私は、強いキャラをネットで調べ、その上でゲームを始める人間を散々見てきた。
そういう人種は、はじめて3プレイだか5プレイだかの私にコロリと負けたりする。自分の土俵で素人をいじめて楽しもうという魂胆だったのだろうが、勝負強さが無いというか、精神的に極めて弱い。
それはまあ、別に良いとして、「更新」つまりバージョンアップが入れば、強かったキャラが弱くなるように調整されたりする。そうすると、途端にゲームが嫌いになるのだ。安易に強いキャラを選んだ場合などは特にそうで、更新が入ったがばっかりに、ゲームを辞める人間は少なくない。多くの場合そういう人種は強くならない。
また、更新が入ると、4)の練習する環境がなくなる場合がある。お店がバージョンアップしない場合だ。近年のアーケードゲームは酷く高く、30万円もする基板はおいそれと買えない。1年間稼動させて、ペイ出来ないのだ。こうなってくると、頻繁にバージョンアップ商法をするゲームはお店側が入れなくなってしまう。
また、家庭用が出ることにはゲームセンターでは最新版が稼動していたりと、家で練習する意味がない、出来ないのが現行のゲームの特徴になりつつある。私が古いゲームを勧めるのは、完成度が高いことの他に、こういった現行のゲーム特有の弊害を回避し、長く遊んでもらいたいからである。
次に5)であるが、これはもう必要経費を払えないということなのだからどうしようもない。家庭用で1万円程度の出費で半永久的に遊べるにも関わらず、高いというのであれば、向いていないということだ。少ない出費でラクして対戦相手を倒し、いい気分になりたい。そんなムシのいい話をする人間は、いつまで経っても上手くはならない。ゲームが好きなのではなく、人をいたぶるのが好きなわけだから。そんな人間をゲーム外のコミュニティは受け入れないし、本当にゲームに100円入れるだけ、1プレイ100円のゲーム生活になる。ゲーム外のコミュニティさえ形成されれば、1プレイ100円以上のものを得られるのだが。
他にも色々と挙げたいものがあるが、最後に今から始める人間がよくいう、「先行者利益」について。アドバンテージがあってズルいというのだが、そんなことは当たり前で、後から始める人間の責任でしかない。それどころか、ネットも無い時代、動画配信サービスも無い時代からゲームをやっている人間に比べれば、今の人間は動画で学べてしまうのだから酷く上達がラクになったはずなのだ。
上手い人にボコボコにされながら一つ一つ覚えてきた先人達を怨むのではなく、先人のプレイを動画で見てすぐに上手くなれるのだから、むしろ感謝すべきだ。
以上から、衰退を嘆くどころか、格闘ゲームを始めるなら今だと私は思っている。