編集者はなぜ高給取りと思われるのか?についての個人的な考察です。ほとんど妄想ですので、いやいや・・・違うだろというご指摘、お待ちしております。
何で編集者って高給取りと思われるんでしょうね。世にある出版社は登録数で4000弱。機能しているのは3500くらいと言われている。出版社と聞いて皆の口から出てくる企業はせいぜい10社。1%以下なんです。彼らは稼ぎます。ただ、仕事の辛さはどこも大体大差ない。実態不明の企業が多いのもこの世界ですけどね。
1000人以上の規模がある出版社は、4社でしたか。グループ企業をいっさいがっさい加えても。聞いた話では、小学館、集英社、講談社に角川グループ。これらはご存知の通り、本を作ってない部署も相当数ありますから(アニメや映画事業、保育所等)、編集者ってどんなに少ないかという事です。
毎年数万人が出版社を目指すと聞きます。大手であっても出版社勤務、編集者となる人間は5、6名。並居る中小零細を加えても、その椅子取りゲームがいかに困難かはお分かり頂けるのではないでしょうか。それどころか募集はほぼ経験者に限られ、新卒者と言うだけで鼻で笑われる事も少なくありません。当然中小零細の大半は人員を募集しません。社長1人の会社も珍しい事ではなく、サブカル系書籍、雑誌の出版社などは相当有名なところでも10~30名規模だったりします。
神保町のど真ん中、靖国通りと白山通りの交差点にドッカと構えるような出版社でも、50人社員が居ないという事はザラです(当然内訳で見れば経理や総務を除くので編集者数は減じます)。これがそもそもの始まりではないか。
数万人受けて、胸を張って「××出版社の△△です」と言える企業の編集者になる人間は、毎年数百人。それも200とか300とかの世界のハズです。出版社に勤められる人間は1%、編集者になれるのは0.3%なんてギャグを以前聞かされましたが、まさに。なのかもしれません。編プロなどを全部切っていき、自社で一貫して本だけやってる純出版社の編集者なんてのは、受験者からすれば途方も無いスーパーマンと思われてしまうようです。会ってみれば同じように目も2つ、手足も2組ずつ、赤い血の通った何の面白みも無い人間なんですけどね。
この超難関という壁が一つ出版社を神格化しているのではないか。
次に、出版社は給料を公開しません。マスコミなどは出しているところもありますが、出版社は幾らですとは言わない伝統があります。そもそも一般企業であれば決まった給料があって、残業代が付いて…とありますが、出版社には「残業」という概念が無い。よって、基本給という考えも曖昧。交渉時にも金額がなあなあになるものなのです。毎月がボーナスのようなもので、「会社業績による」です。それでも外食チェーン店のアルバイトよりちょい下くらいの基本給は確約されますがね。勤務時間から考えれば儲かってないようです。
この金にルーズな伝統が、「きっと沢山貰ってるんだろう」と錯覚させているのではないでしょうか。実際そんな事は全然ありません。(と聞かされていますが、大手なら20代で70万/月とか居るみたいです)
特に編集者の給料が語られないのは、腕一本頭一つで食う仕事だからでしょう。
事務や営業という形で採用する場合、基本的に能力に差は出ません。やり手のスーパー営業マンも居ますが、入社後「よーい、ドン!」の段階で圧倒的力量差で生んでいる利益のレベルが桁違い!という事は珍しいのではないでしょうかね。
つまり、どこの誰を採用しても、採用時に一定水準を超えていると判断して入社を認められているわけですから、一定程度の能力を有していると考えられます。しかし、編集者はそうではありません。出した本が当たるかどうかは神のみぞ知る、水物です。編集者一人ひとりの特性や能力には雲泥の差があります。一律に同額を出してやるという事が大手ならまだしも中小では難しい。プロ野球のように個々人で全く年俸が違います。
ですから、一部の飛びぬけて素晴らしい方の給料額が基本のように喧伝され、皆貰ってるんだろうと思われてしまう。彼らスーパーマンによって食わせてもらっている編集者がどれだけいるか。誰もが皆、大ヒット御礼、ボロ儲けと思うなよ!というのが、一般編集者の包み隠す事のない心境でしょう。