変容する秋葉原に怒りを覚えている方が多いようですが、何でそんなに怒るのか。秋葉原はあなただけの街ではない。自分の趣味に適さない街にちょっとなっただけで大騒ぎとは。それよりも外人用観光都市になっていることの方が問題視されるべきだと思いますよ。土産屋ばっかり。
ネットなどの意見と現実の意見が大きく乖離する事は既に知られていますが、
金を出さない人間、消費しない人間、所有していない人間ほど声が大きい。
物を買ったり、持ったりしなければ、何でも好きなように無責任に叩けますし、何より現実を知らない。
秋葉原であれば、秋葉原を恒常的に利用する人間が秋葉原の主役なのであって、たまに行くだとか行った事がない人間の夢想に付き合うのは得策ではありません。私は今でも平日は神保町~秋葉原に居ます。お仕事の関係で。そうしてみると、学生時代とは変わって見えるようになってきたわけです。
今まではサラリーマン=オタクではない敵性種族だったのが、オタリーマンこそ狙い目の生き物ではないのかと。平日暇そうにしているのはNEETと思しき人達。敢えてニートと書かずにNEETとしたのは、差別的な意味合いを持ったニート(=犯罪者予備軍)ではなく、本来のNEETの意味で使用したかったためです。脇道にそれましたが、彼等の購買力、行動よりも、平日昼間のサボリーマンの方がずっと金になるのではないか。
事実、書店や食事を提供する店はスーツ姿の人間に占拠されますし、街中でも黒服が相当に目立ちます。金が出せるであろう身なりと、そうではなさそうな人というのは、酷く差別的ですが…分かります。もとより秋葉原は山手線、京浜東北線、総武線に都営新宿線、日比谷線、銀座線と6路線が使える街。JRの主要3路線が通っているわけで、潜在的に社会人が多くなる土壌があった。
最も自由に金の使える世代は本来18~25歳くらいでしょう。ある程度独立し、独身であれば金を使える。ハズですが、今の20代前半の消費力は極めて低い。ネットで落としちまえだのなんだのから始まり、コンテンツに執着しない(のにオタクを自称する矛盾)ようになった。自然と20代中後半が秋葉原に最も金が出せる立場になっていく。単価の面で行けば30代、40代、50代が強い。
そういった世代に向けて、ホテルの部屋ににジオラマを接地し、持参した鉄道模型を走らせる事が出来るだとか、そういったサービスが今更出てくるのも当然。ビジネスは金を出せる人を狙うものですからね。出さない、出せないと食い殺される。
若年層にとっては秋葉原の破壊、巨大資本の侵食かもしれませんが、そもそも秋葉原に来ないわけですから。どうでもいいでしょう?ネットで買ったり出来てしまう。旧態依然とした秋葉原訪問スタイルの人間が秋葉原に金を落とす。秋葉原の破壊ではなく、秋葉原の回帰なのかもしれません。私は意味の分からんコスプレ娘がしつこくバーの客引きをするよりずっと良いと思いますよ。後はラーメン屋のドやかましい客引き。
秋葉原らしさを語るなら、それがどういう物か叩き台を用意しないと。
何となく新しい物を否定してまわっても何も変えられませんよ。
私は秋葉原とは何かを確証を持って語れると信じています。
一過性のブームでやって来た新参者ほど、今の秋葉原が伝統的で絶対の物と思い込みやすい。
秋葉原は変わる街です。変わり方に良い悪いは確かにありますが、最近流行ったアニメやマンガの看板だらけの街が最も良いと思っているのであればそれは誤り。企業側も何となく分かってきたんじゃないですかね。金を出すのはハイティーンじゃないと。それが今の秋葉原の姿なんでしょう。
時代遅れと笑われた、90年代以前のオタク達。今度は00年代のオタク達が、90年代以前のオタク達に「時代遅れ」と笑われるのかもしれません。温故知新。古い物の価値、オタクの歴史を軽んじ、今が最も優れた文化の時代と騒ぎ立てた彼らはオタクを続けられるんでしょうか。
【蛇足】
今の世代は、「あずまんが大王」等ですら化石扱いで、古いマンガに一切興味を持ちません。
そんな物を読むこと自体がダサく、今が最も面白いと思っています。
ドラゴンボールは廃棄物、ワンピースはスイーツ(笑)と紋切り型にやってきたツケ。
急ごしらえのオタクでは、この時代の潮流には耐えられないでしょう。
一過性のブーム、かわいいブームで大騒ぎした人間は、次々とコンテンツを乗り換える。金は出さない。
企業からすれば、私のように今でも必死でスト2をやり、部屋にセラムンのLDを並べ、ビーナスよりもジュピターだろ。
とやらかしている人間の方が「長く」食える。
セラムンDVDBOX購入を検討し、かつて再放送された美味しんぼをテープが磨り減るまで鑑賞しつつDVD化を待ち望む。そんなオタクの方がラクに食える。食えるオタクを相手にする方が賢明だと気付いた企業から、順次、年寄りオタクを狙って行くんじゃないでしょうか。これからの時代は。