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銀河パトロールジャコ(鳥山明/集英社)レビュー

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銀河パトロールジャコ
銀河パトロールジャコは鳥山明先生の最新作。自称スーパーエリートの正義の味方、ジャコ。彼の使命は、取るに足らない辺境の星、地球をある脅威から守ることだった(特に与えるべき仕事もないので任命されたともいう)!



【以下ネタバレを含みます】

本作はなんといっても、鳥山節というべき調子外れなギャグが魅力。鳥山氏といえばドラゴンボールの中盤以降のようなバトルばかりに目がいきがちですが、やはり自分の描きたいものといいますか(もう描かなくても食べていけるのでしょうが)、得意なジャンルを描いていると、絵の端々に著者の心のはずみが感じられるように思います。

とにかく動きを与えて迫力を増そうとする作家が多い中、無駄な線や動きを廃し、止め絵で読ませてしまうあたりに、鳥山明が不世出の漫画家であることを感じさせます。

さて、帯にも書かれておりますのでネタバレでもないのですが、ジャコが地球にやってきたのはサイヤ人から地球人を守るため。本来別に守らなくてもいい星なのですが、閑職のジャコ(本人はスーパーエリートだと思っている)のために適当な仕事があてがわれたわけです。

もちろんやってくるサイヤ人は「カカロット」。本作の巻末には16Pものかき下ろしという形で、悟空がどのようにして地球にやってきたのか、悟空の父バーダック、母のギネに関して、今までのドラゴンボールシリーズの正史とは異なる形で収録されている。これについての異論もあろうが、様々な箇所でオリジナルストーリー(最近では筐体型カードゲーム)をつくりだされてしまっているドラゴンボールに正史を求めることは野暮ではないかと思う。もし正史があるとすれば、それは鳥山明が定めた「それ」しかないのではなかろうか。


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