時流を分析し、ちょっと知識人を気取った中高年が好きそうな記事です。LDニュースの題名は『品が皆無な”エロ”の大安売り』となっています。しかし、他人を叩いている自分自身が同様の罪を犯している事には気付いていないようですね。『萌え』という言葉の株価を上場廃止にまで追い込んだのはどこの誰であったのか。
冒頭部はこう始まります。
なんとも品のない言葉がはやりだしたものだ。「エロ」である。昨年、倖田來未が「エロかっこいい」でブレークして以降、業界では次から次へと「エロ」の大安売りだ。
なんとも新時代に反骨精神をお持ちの中高年が好みそうな言い回しですね。確かにエロを連発するのはどうかと私も思いますが、それもまた文化ですし全面否定は出来ません。(ゲンダイだってどこかで絶対エロ○○って記事を書いているはずですが、よくもまあバッサリやれるもんですねw)
鬼の首をとったように始まる冒頭部ですが、彼らは同じ事をオタクに向けてやっている最中です。売れているのかいないのか分からないアイドルの卵にメイド服やネコミミなどを付けさせ、「~だにゃん」やら、「ご主人様」やらと喋らせる。事ある毎に「萌え~」という本来の意味ではない言葉を乱用し、ネタが尽きれば「萌え」とか言うオタクはロクでもないと叩く。
エロは元々エロスでした。人間の性的な部分(仮に低俗な部分とします)と、芸術的な部分(高尚な部分)がエロ(ス)には含まれていたはずです。しかし、いつの時代からか文語のエロスと口語のエロは袂を分かちます。今の萌えと萌え~のように。
エロスは芸術家や学者などのごく少数派の中でのみ生き、エロは大衆に受け入れられ元々持っていた二つの意味のパワーバランスを崩壊させた。これもまたマスコミや媒介するメディアの力があったものと思われます。
最近の風潮を嫌悪し、バッシングする前に、マスコミは自分達が大衆化して踏みにじってきた数々の文化への償いが必要でしょう。「人の振り見て我が振り直せ」この言葉を私の2~3倍生きている中高年の皆様方に捧げます。