こういう話題のときには大体PS3を取り上げることになってしまいます。信者の方は申し訳ない。さて、PS3の失敗について語る前に、私はPS2の時代に既に失敗していたのではないか?という点を指摘したい。PSは大成功に終わりました。これは私も得心しているところで、光ディスクによる大容量化と価格破壊はカセットロムの限界を感じていたゲーム業界にとって大きな突破口でした。
次世代機として登場したPS2ですが、高解像度の映像や音楽、ボリュームという点で非常に先進的で、ゲーマーにとってありがたい存在ではありましたが、当時を知っている方なら分かると思いますが、PS2をDVD再生機として購入する層が実に多かったという事実についての認識が足りかったのではないか。
DVD再生機を欲しがる層は若者中心で、アダルトDVDも勃興し始め、一人一台DVD再生機があれば…と思われている頃でした。また、ビデオの画質とDVDの画質は明らかに違いが見え、映像を映し出すテレビのスペックが足りないからDVD本来の画質を楽しめないということもありませんでした。CDもビデオCDという規格はありましたが、VHSに変わる物ではなく、音楽用メディア止まりでした。DVDは画期的な録画メディアとして、凄まじい引力を持っていた。これの他に様々な要素のマッチがPS2を再度ゲーム機の頂点に立たせたのですが、同時にそれはゲーム機ではないという評価を内包していました。ゲーム業界はこの点について明らかに見落としていた。ユニークユーザーは全てPSを愛するゲーマーであるというイコール関係で結び付けてしまったわけです。
そして、今世代機に話は移ります。PS3はBDを再生する事が可能です。しかし、現状は寂しい限り。累計販売本数が3ケタのBDなども見受けられます。BDが普及しないのはひとえに再生環境があっても視聴環境が無い。語弊がありそうなので換言すれば、繋ぐテレビがその領域に達していないのです。PS3プレイヤーの多くは赤白黄のコンポジットで繋いで高画質を楽しんでいると思っており、これだけ地デジと言っても詳細を理解できないわけですから、彼らにとってはオーバーテクノロジー。今のテレビもゲーム機も既にオーバースペックなわけです。理解できないものに金は出せません。
改めて書けば、DVDの凄い版だと言われても、未だにD端子で接続することなど稀な世間一般に対して、フルHDTVにHDMI端子で接続してくれと言ったところで意味が理解できない。PS3の画質が凄いという非ゲーマー層は平然とコンポジット端子で20型以下のテレビに繋いで遊んでいます。HDMI端子ケーブルを渡しても、「音声端子はどれ?」「こんなのだけでテレビに映るわけがない」と言われてそれまでです。
時代がついてきていない(金銭的、知識的に)というのが一点。もう一点は、DVD再生機と同様にBD再生機として購入した層が居るという点です。これは一見シェア獲得の為に好ましいように見えますが、先にも述べた通り、DVDを見るために買ったユーザーの内包というパターンがBDに変わっただけ。確証はありませんが、任天堂があくまでゲーム機を作り、CDやDVD再生機能を搭載しないのにはここでご説明する理由があるのではないかと私は考えております。BDやDVD、CD再生用の機械として買った層はゲームを遊ぶとは限りません。かつてPS2がDVD需要に乗った時には、ゲームとDVDの親和性が極めて高かった為に問題は起きませんでした。ですが、今この状況から考えるに、余計な最新鋭機能を搭載することは、余計な需要を呼び起こすことに繋がる。即ち、ハードの購入者の目的がゲームメーカー並びにプラットフォームホルダーにとってぼやけてしまうという問題が出てきてしまうのです。
BDも見えるから、BDも見えるから…と言って買う層は、
ゲームを楽しめるという利点+BDを見ることが出来る利点=PS3購入
であって、ゲームだけではPS3を買わなかったかもしれない。つまり、単にゲームをやりたくてやりたくて堪らない、ゲームソフトを大量に消費する層では無い可能性もある。オマケ欲しさに物を買う層がメインのファンかどうかは別のハナシって事です。
Ⅱへ続きます