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何をもってして学問か ~権威主義ではない学問の再定義~

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シリーズ学問と言うのは何か。私は、学問とは論文化出来る物であると考えます。 つまり、論文にならない物は全て学問ではない。 換言すれば、ネット上で特定の人物に批判的な意見を述べ合うといったものは学問ではないのです。彼らは立派な事を言っている優越感に酔っているようですが、それは赤ちょうちんの猥談と変わらない。


さて、学問をこう定義した場合、学問というテーマを理解する為には論文を理解した方が早いという事になります。論文というものが一体どういうものかを順を追って理解していきましょう。

【論文の3要素】
・研究対象について何らかの問題を見出す
・その問題の本質について仮説を設定する
・仮説が正しいものであるかどうかを研究し、証明する

私の読む論文は、基本的にこの構成と決まっております。論文は特定の形式に則って書かれておりますので、この形式を知っていれば、読むことは難しくありません。先ず、序盤に示されるのが「問題」です。どうして今、この研究をするのか、どういった問題なのかを細かく説明します。次に、自分なりの仮説を立てます。この仮説は最終的に間違っていても構いません。よく勘違いされるのですが、論文は首尾一貫して自分の意見が正しい事を証明しなければならないというわけではない。これについては後で少し触れましょう。

仮説を設定したらば、次は自分なりの方法で証拠集めです。自分の考えが正しいということを誰の目にも「もっともらしい」手法で示していかなければなりません。もっともらしい証拠を集め、結論を導く事が出来れば論文は完成です。

論文とネットの書き込みや口ゲンカが違うところは、形になるので言葉の一言一句から後々検討出来るという点。検討され批判されれば、その論文はより良い物になり、学問が発展するわけです。

【閑話休題】
・論文は間違ってはいけない?
私は決してそんな事は無いと考えます。意図的に捏造をしても良いとかそういう意味ではなく、自身の仮説が調査中にどうやら間違っていると分かった時に、無理に不都合なデータを無視してまで仮説の正しさを示す必要は無いという事です。Aの原因はBだと思っていたが、実はCだった場合、
「原因はBだと思っていたが、Cのようだ。今後はCを研究したい」と時間が無ければ書いても良いわけです。学者ではあまり誉められませんが、学士、修士論文レベルなら許されるのではないでしょうか。こういった体裁の悪いように思える論文を私が認めるのは、

・今後同じ間違いをする人間が居なくなる
・Cという可能性を示唆した

という部分を評価しているからです。これはこれで仕事をしたと言えるでしょう。

【了】

論文とは何かの理解がある程度出来ましたので、今度は学問とは何かに戻って考えましょう。論文の3要素を満たせないものは学問ではありません。先にも述べたように、ちょっとばかり頭をつかった発言をすれば、学問をやっていると考えてしまうのは大間違いです。

とあるリンゴ園があるとしましょう。
「リンゴ畑が青森にはあります」とするだけでは学問ではありません。
ここはご了解頂けると思います。

では、「おいしいリンゴの畑が青森にあります」となったらどうでしょうか。
「おいしい」というものがどういう定義なのかが示されれば学問の基礎データとしては良いでしょうが、これだけではやはり学問とは言い難い。

次に、「おいしいリンゴの畑が青森にあるが、それは長年の品種改良を重ねた結果だ」となった場合はどうか。このテーマをもっと洗練されればどうやら論文になりそうです。論文になり得るという事は、限りなく学問に近付いたという事です。ここから、「どうやればおいしいリンゴになるのか」を研究する人間が出てくるでしょう。次に、もっと具体的に「土地の成分」や「品種改良の理論」、「農家の管理」といった要素を「仮説」として「おいしいリンゴ」が出来る理由を解き明かそうとする人間が出てくるでしょう。こうして学問の樹がひとり立ちするわけです。

何かを非難するだけの人間がさも学者(作家)然として生きていますが、彼らは似非学者です。間違っていたとしても、Aという学者は何かしらの仮説をもってして結論を導いたのに対し、それをネットやら著作(論文ではない)で批判するだけの人間は、土俵に上がっていないわけですから学者ではありません。外野席から口汚く罵るマナーの悪い客といったところでしょうか。

反論があるならば論文で対抗すべきです。既に書いたところですが、論文は後々まで残り、検証されますので、一方的に他人を攻撃するわけには行かない。自分も矢面に立たされるわけです。そういった場所で殴り合って始めて学問の樹になるわけで、ちょっとばかり本を読み小ざかしい知識で書評をする(つまりは私の日頃の行い)のが、どれほど小汚いラフファイトか。まともな論文を読み、研究の苦しさを知っていれば、そういった行為を「高次の学問的行為」だなどと誇らしげに語ったり出来ないはずです。

学問という言葉の本質を理解していないにも関わらず、通俗的な意味合いで、自分の発言に権威を上乗せさせる意味で使う人間の何と多く、何と恥さらしな事か。
というお話でした。
学問の基礎を正しく理解すれば、誰もが学問をやれるわけですが、こういった文章を読んで「うっ」と思う人の方が多いでしょうから、やはり私の真意は伝わらないんでしょうかね。

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