モンハンってゲームがあるね。すごい人気だから、遊んでいる子も多いんじゃないかな。そのプレイ時間を見れば分かるけど、モンハンプレイヤーってのはモンハンしかしないんだ。つまり、他のゲームを知らないんだな。モンハンが好きなんであって、ゲームが好きなわけじゃないんだね。
ゲームをやってきた人間が感動したり、興奮したりする物と、彼らが感じるものは違う。だから、ゲームの面白さってのを簡単に彼らには伝えられないんだ。
作業じゃないか、マンネリじゃないか、最低の操作性に、手抜きアクション…。
こんな批判は彼らには無駄なんだな。彼らはゲームをやってないから、モンハンをやっているんだから、ゲームという土俵で語ったところで理解出来ないんだ。モンハンであることが重要で、モンハンでないものは全て駄作なんだ。これは売り上げを見れば一発で分かることでもある。モンハンかどうか、モンハンをやるだけの生き物ってのが出てくるだろう。オンラインRPGだけをやる生き物みたいなもんだな。
生き物だなんて失礼な書き方をしたのにはわけがある。それは、ゲームに対して無理解であることを彼らは知らない。にもかかわらず、ゲームを語っちゃったりするんだ。井の中の蛙なんとやらというやつでね。知らない人間は常時視野狭窄なんだから、目の前にあるものが一番なんだな。当然、それを遊んでいる自分も一番だということになっていく。おかしな話なんだけどね。
彼らの語るゲームの世界は、モンハンかどうかだから薄っぺらい。
そんな価値観と知識がゲームの世界に蔓延しているから、どうにもいけないんだ。
ゲームという括り、遊びという範疇で面白いかどうかではなく、大前提にモンハンかどうかがある。これでは、本当に面白い物を見つけることなんて出来るわけがないよね。モンハンは革新的なゲームであるように彼らはいうけど、彼らの思考は化石化しかけた保守主義だよ。ゲームとしての進歩や変化を一切受け付けないからね。
また、横並びでゴールということが好きな人が多い印象だね。これは、負けると腹が立つという短気な人が多いからかもしれない。もちろん、僕も腹が立たないわけじゃないよ。他のゲームで対戦などをすると、どうしても実力差が出てくる。この実力差を体感するのが彼らは辛いんだね。自分がつまらない、弱い人間であることを誤魔化す場合が本当に多いんだ。
ここにも、ゲームかモンハンかの別があると思う。モンハンでは横並びが当然だから、ゲームのルールは受け入れられないんだ。最近FPSをやっていても、後輩にスコアで負けるようになってきた。これはもう、人間性や能力、もちろん練習不足もあるかもしれないけど、仕方のないことなんだ。成績の差によって人が分けられることはどこでも行われるんだよ。それに真っ向から立ち向かえる人は、やっぱり立派な人だ。競争するからこそ面白いというものもたくさんあるんだけどね。CPUという絶対負けない相手、決まった動きをする相手を一方的にやっつけるのは、リンチであってゲームではないからね。
ストレス発散の道具として使う人と、自分の頭で考える人。ゲームの世界ではトライ&エラーと呼ぶけど、自分で考えて、考えて、失敗してはまた試す。ここに面白さを見出せる人はやっぱり何をやっても上手くいく。競争であろうとなかろうと、自分で解決できる人は何でもどんどん上手くなるんだ。それがCPUではなく人だったら、相手の人も考えに考えてくる。だから自分も考える。両方がどんどん上手くなっていくんだね。
もう一つ言いたい。楽をして勝とうとするのはいいけれど、それは楽をすることではないんだ。言っている意味が分からないかもしれないから解説するけれど、楽をして勝とうということは、決して悪いことではないんだね。最小限の労力で最大限の効果を生むというのは、言い換えれば「効率がいい」ということだからね。効率化はどんどんするべきだ。
でもね、楽をするというのはちょっと違うんだね。例えばテストで、誰かが解いた答えを写して出しちゃう。これはカンニングだから当然いけないことだね。楽をするということは、こういうことなんだ。自分は何もしないで、誰かの努力を横取りする。これも効率化に見えるんだけど、これだけでは自分に力がつかないし、毎度毎度カンニングできるわけじゃないから、いざというときに困ることになっちゃう。先生がカンニングしないようにというのは、力が足りていない子を見逃してしまうと後々その子やその周りの人が困るからなんだ。
今、モンハンに限らず色々なゲームがあるんだけど、そのゲームの大部分が簡単にクリア出来るように作ってある。それは悪いことじゃないのかもしれないけど、それに加えて簡単に攻略するための情報や、道具を使う人がたくさんいるのが気になるね。それだけじゃないよ、ゲームソフトを買うことだって我慢や努力が必要なんだけど、それをそっくりそのままインターネットから盗んできちゃう人もいる。もし、キミが一生懸命勉強して解いたテストの答えをカンニングされたらどう思うかな。
皆が、楽をし始めちゃったんだね。僕が育った田舎なんかでは、小さい頃は紙おむつなんてなかったから、布のおむつを使ってたんだ。布のおむつは汚れたら洗ってまた使うんだよ。今、布のおむつを使いなさいといっても、誰も使わないよね。洗濯だって洗濯板ではやらないね。人間はね、楽を覚えると戻れないんだな。それが当たり前になっちゃうと、それすら面倒になっちゃう。
ゲームって面白い遊びすら面倒になっちゃってないかな。クリアするだけが目標になってるんじゃないかな。遊びというのは、与えられるものじゃないんだ。自分で編み出すものなんだよ。自分で遊びを編み出すと、ゲームを中心にどんどん遊びが膨らんでいくんだ。だから自分で編み出す面白さを知ってしまうと、与えられる遊びには戻れなくなる。楽を知って戻れなくなるようにね。
こういうわけで、色々な遊び方ができるゲームをもっとたくさん知ってほしいんだ。
特に正解がなかなか見つからない、無いようなゲームが一番だ。一生懸命考えて、考えてしていくうちに、ゲーム以外のことでも頑張れる人になれるかもしれない。面白い遊び方をたくさんみつけられるかもしれない。
お父さんやお母さんがゲームが嫌いなのは、きっと自分で考えたり悩んだりしないで、時間を無駄に使っちゃうからなんだな。囲碁や将棋をやりたいんだって言ったら、嫌な顔をするお父さんも少ないと思う。自分で難しいことに立ち向かう姿は、親からすると嬉しいし、子供のためになるならと思っちゃうんだね。単純だからね。もしも、キミがゲームに真剣で、色々と考えて、悩んで、それが自分の力になっていると分かってもらえれば、ご両親も何も言わないんじゃないかな。
重要なのは、自分でがんばることと、遊び
を編み出すこと。
与えられたゲームを遊んで時間の無駄遣いをするだけなら、僕もゲームには反対だな。
僕が大学生になったばかりのころに先輩にいわれたことなんだけどね、
「ゲームにすら本気になれない人間が、他のことで本気になれるはずがない」
というのがあるんだ。一番好きな遊びなのに、最初から決め付けたり、本気じゃないからと逃げたりする人が、勉強やスポーツを一生懸命こなせるわけがないね。それは、本当に好きだということではないんだ。本当に好きな物を見つけるためには、やっぱり色々やってみるしかないね。人に聞いたり、見ているだけでは本当の面白さは分からないからね。そうしているうちに、どうしてもやらないといられないことが見つかるんだってさ。
だから、モンハンだけ遊ぶんじゃなく、もっと他のゲームを遊んでみたらどうかな。テレビゲームに限らないよ。釣りや野球やトランプでもいい。何も知らないのより、何でも知っているほうがいいに決まっているんだから。今のうちから自分の可能性を柵で囲ったりしないほうがいいよ。