スト2世代が最近の格ゲーにいい顔をしないことが多いのは、煩雑なシステムについてこれない「頭の化石化」よるものだとされがちですが、さに非ず。スト2世代はスト2ターボという苦い経験があるために、最近のゲームのダウン調整や速度上昇は経験的に「危険だ」と感じているのかもしれません。少なくとも私はそうです。
ターボでは高速化と同時に一発の重さを下げました。もちろん、下げても今のゲームよりずっと重たいのですが、長所を殺すダウン調 整を行ったわけです。この結果、暴れまわるキャラが強くなりました。目で追えないような動きをするだけで何もさせなかったり、できなかったりして終わる。 また、そもそもゲームの速度についてこられない人間は一方的に嬲られるだけとなり、技術の進歩で高速化ができ、メーカーももっと人気になるぞ!と思って世に出したものが、シリーズ斜陽の第一歩となってしまったわけです。
これに危機感を感じたカプコンは、またもや焼き直しではありますが、早くなり過ぎたゲームスピードを落とし、キャラを増やしたスーパースト2を発表します。しかし今度は「遅い」ということで人気が出ず、更に客足が遠のいてしまったのです。これは、格ゲーを語るうえで大変に大切な教訓であると私は考えております。
すぐに終わらないように一発の重さを下げて、それではゲームが終わらないからとゲームスピードを上げる(当時ゲーム機の回転率を上げることもロケーションではかなり重要視されていました)。今となって は至極当然のように思えますが、この調整は「場当たり的」というほかなく、一度そういうゲームとして根幹部を設計、成立させてしまうと、直しようがなくなるんです。スト2はターボで失敗して、それをスーパーで低速化させて大火傷をしました。
つまり、一度高速化&ダウン調整して客をふるいにかけ、更に低速化してまたもや客をふるいにかけてしまった。スト2はそれでもスト2だったので、重体レベルの大怪我をしてもスト2Xで巻き返すことができましたが、あんなジャンルや時代を築いた怪物タイトルでもない限り、一度でも場当たり的な調整をしてしまうと、それはタイトルの死を意味するのではないかと思います。
私もですが、古い格ゲーマーの中には、バージョンアップされなくなったタイトルしか遊ばないという人間がボツボツいます。これは、バージョンアップにいい思い出がないこと、いいものになるはずがないことを経験的に知っているから。そのタイトルに不具合や不満点があるならば、根本的に設計し直し、新規タイトルとすべきなのです。しかし、そうはしない。場当たり的な対応に終始し、結果として更なる不満点を生み出す。これではますます先細りするばかりです。
ジャンルの衰退を、おっさんゲーマーが新規タイトルを遊ばない「せい」にするのは簡単ですが、温故知新という言葉もございます。たまには亀の甲より年の功というのも悪くはないかもしれませんよ。
この記事へのコメントはありません。