マンガ文化は多様化し、貸本漫画時代の戦記物などにとらわれることなく、多彩な作品を生み続けてきました。その成熟には目をみはるものがありましたが、それも2000年代までだったなと。といいますのも、このところのマンガは原点であるところの「漫画」つまり漫遊記の漫であって、風の吹くまま気の向くまま何も考えない「漫」で読む「画」だから漫画。という場所に戻ってきたのではないかと思うのです。もちろん今でも必ずしも笑いや癒しを与える目的ではない作品、深い考察が必要な作品が存在することは間違いありませんが、説教くさいものは嫌われる傾向が出てきたというのが正直な感想です。
マンガは漫画の原点へ
漫画はそもそも漫筆といった風な、思いつきを絵や文にしたためておくところがスタートでした。つまり、どこのどいつと何をした、今日食べたアレが美味かった。そういった類のものです。今、マンガの世界を見回してみますと、そういった作品がとても増えていて、かつ、売れているのではないでしょうか。
日常を基本に据えた作品は、よつばと!など00年代から存在していますけれども、より肩肘を張るでなく、ただ流し読める作品が好まれる傾向が強まったのは2010年代から。マンガは世相を映す鑑ですが、世相がすぐさま反映されるわけではありません。ある一定の潮流になるには、数年程度のズレが生じます。バブル期から90年代前半に隆盛を誇ったのは夢や希望、壮大なストーリーであったのが、00年代からの苦しい時代を反映するのが現実主義的な現状維持、今の暮らしの中にわずかな彩りや楽しさを見出す作品があらわれはじめ、ジャンルとして確立していきました。00年代自体は「空気系」「日常系」と呼ばれる世界観を大切にした作品がジャンルとして立脚しましたが、10年代は「漫画系」とも呼ぶべき、より楽に読める作品が増えたといえるのではないか、と。
00年代と10年代の違い
大きくジャンルとしてくくれば00年代も10年代も日常系だといえますが、差異を見出すことは可能です。ひとつは「無気力な主人公や登場人物」が「辛い目に遭う」というスタイルが減じてきている点。90年代末から00年代は満ち足りた時代に、夢も希望もない。そんな空虚さが登場人物を等身大に描かせていたと思うのですが、いよいよ10年代になって「モノはあるがカネはない」という時代になった。そのため、辛い目に遭うという展開が減ってきたのです。人々は現実が既に辛いのに、今更マンガで辛いものを見たいと思わなくなったと考えられます。
加えて、より「モノのなかった時代」への愛着が強まっていると感じます。時代が現代であっても、物品や富、名声などではなく、自然や人の心の機微に焦点をあて、ささやかな幸せを共有する。そんな作品をよく見かけますし、映画などでは使い古された手法の特撮(シン・ゴジラ)や入れ替わるという(君の名は。)がヒット。「この世界の片隅に」などは、戦争当時の貧しい時代にありながら、しっかりと生きる様を描いており、今の時代だからこそのヒットではないかと思います。現実の貧しさを、どうにか乗り越えたい、ないしは直視したくない。そういった人々の強い意志と怨嗟の声が聞こえる気がしてなりません。満ち足りた空虚さから、現実のひもじさへ。これが00年代と10年代の大きな違いです。
せめて心と頭だけでも
貧しいという事実はひとりの力ではどうにもなりません。ですから人々はせめて心や頭だけでも満たしたいと思っているのではないでしょうか。それが日常系に知識を付加した作品の増加につながっているのでは、と考えます。
『だがしかし』は誰もが知っているものにプラスワンして、知識欲を満たします。駄菓子は誰でも買えますし、誰もがかつて買っていた。子どものころの哀愁と相まって、人気を博しているのかもしれません。真逆の位置にあるのが「美味しんぼ」でしょう。同様に知識欲を満たす要素はありますが、明らかにめぐまれたバブル期の代物。今、あのような作風でスタートしたとて、当然受け入れられるはずがありません。同じ食べ物を扱うにしても、時流というものがある。ということですね。
ざっくりと時代とマンガについて話してまいりましたが、これからも時代が好調とならなければ、一層マンガの世界は小さくなっていくでしょう。それ自体がマンガ文化にとって必ずしも悪影響とは思いませんが、80年代に育てられた人間としては、どこか夢や希望、明日を燃えるハートで駆け抜けたくなるような作品が少なくなったことに寂しさを感じますね。みなさんはいかがでしょうか。
このブログまだ続いてたんですね!王にはなれたんでしょうか
秋葉のラブライバーが昔のアキバ四天王みたいだなあと当時を思い出して
このブログも思い出しました
女装ハルヒを始めとするアキバ四天王とかアキバ王(TVチャンピオン)は今どうしてるんでしょうね
本家ワンピースも海賊王になってないしなー
このブログも10年以上あるけど、作品は変われどオタクがやってることは変わらないきがするねえ
雑誌Yahoo!のオタクサイト特集で担がれたなかで、ウチだけ死んでいるのがお恥ずかしい。
10年以上「あるだけ」です。ほかのサイトさんは法人化というか事業化?されているのに、
結局この体たらく。古くから応援いただいているのに、何も残せず申し訳ございません。
以前よりお読みいただいてまことにありがとうございます。
友人につけてもらったサイト名ですが、もちろん、王なぞになれるでなく。
当時、オタクとして担がれていた人で生き残っている人はどれくらいおられるのでしょうね。
久々にコメント通知が複数あったので、やる気出してまた何か書いてみようと思います。
暇つぶしになれば幸いです。
₍₍ ◝(‘ω’◝) ⁾⁾ ₍₍ (◟’ω’)◟ ⁾⁾