オリンピックによる会場問題が火種になるか
同人即売会はなんといっても、コミケを中心にまわります。同人業界がすでにコミケを基軸にして成立しているのですから当然です。オリンピック開催中のコミケは会場の都合から開催が危ぶまれていましたが、時期をずらしてゴールデンウィークに開催することで決着したようです。でも、出版業界はそういう流れでやってません。上手いことやるとは思いますが、作家がGW休みや連載持ちなら合併号なんかを当て込んで描いていた時代とはもう違うのでしょうが、リズムが違えば売り手も買い手もいままでどおりにはいかないでしょう。
そもそも工事が終わらない、会場をオリンピック関係で使うので不意のことがあれば開催不能、セキュリティが厳しくて不便なことこのうえないといった問題がすでに予見されておりまして、ましてやプレスセンターみたいなものができたりすれば、海外メディアが同人即売会を糾弾するのを恐れて(エロいもんだらけだと叫ばれた日にはオリンピックの客足にも響くかもしれないですし)、表現問題が炸裂するかもしれません。
どうしましょうか。完全オリジナルの品行方正な作品や、企業ブースのみでいきますか。いや、会場狭すぎで一般サークルは全然展示できないんじゃない? とかいわれてますけど。場合によっては、抗議の意味も込めに込めた完全オリジナル、品行方正な小説とか出品したろかとか思ってますけど、どうですか。「ウン万人の宮崎が!」の再来から、同人文化を完全に破壊されうる危機であろうと思うんですよね。もっとも、この危機を前に関東中心に企業の展示即売会ができませんし、私の知っている出版業界はブックフェアが開催できなければ痛手でしょうから、オリンピックによって不況の嵐が吹き荒れるだろうといわれているんですよ。そうしてイライラの矛先がエロ文化駆逐へ向かう可能性、大いにあるんじゃないですかね。
自由どころかイベントがなくなっても困らない?
同人文化の自由さがなくなるのは由々しきことです。また、イベントのライブ感がなくなるのももったいない。オタクよ結集せよ!同人を、コミケを守れ!!と叫んだところで、10年前ならいざ知らず、2020年にはそこまで大きな抵抗にはならないかもしれません。といいますのも、いまは代替案がたくさんあるから。むしろ、作品を読むためだけなら、電子書籍の方がお手軽、おトク、保存場所にも困らない(指紋認証スマホならオカーチャンにも見つからないネ)。こうなってしまった場合、もう後戻りはできません。出す方も買う方も、手軽さを知ってしまうと、わざわざ面倒でお金のかかることはしなくなるのです。もちろん、全員が絶対にそうなるということではありませんが、それでも、興は削がれます。会場へ行くぞ!という熱意の何割かは失われるでしょう。それで、イベントが小さくなるだけならまだマシで、同人自体が弱まる可能性だってある。そもそも著作権的にアウトなんですし。個々人で電子書籍にしたり、ペイパーで読めるサイトを建てたりしてしまえばいいじゃん。となって、イベントも同人も、急速に消えゆく可能性はゼロではないですし、むしろ高いんじゃないかなあと。
人間は利便を追い求める生き物ですからね。便利になってしまうと、不便には戻れない。進化は不可逆です。あなたが馬が好きでも、車や電車に乗らずに馬で通勤はせんでしょう? そういうことです。同人も、同人「誌」も、不可逆に消えていくのかもしれません。自然の成り行きなら仕方ないと思えますが、外圧や不手際でそうなるというのはどうも納得できませんけどね。
みなさんはどうお考えになられるでしょうか。同人即売会の今後、オタクの今後、2020年は大きなターニングポイントだと私は思うわけですけれども。
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