【出版社面接】
出版社は相当大きくなければ専門の人事は居ないと考えてよい。面接官も当然編集者であることから、一癖も二癖もあるアクの強い人物ばかり。なかなかどうして難しい面接になる。クリエイターとでもいうのだろうか、天才肌同士は反目し易い事から、人柄も徹底的に見られる。どれほど立派な企画があっても、力があろうとも、職場の空気を悪くする人間は入れてもらえない。腕一本でメシを食う仕事なんだから、人間性なんて・・・などという甘えは許されない。立派な出版社に通る人間は、素晴らしい才能と同時に、それを歯牙にもかけない人物である。学歴が、能力がなどと思っているような人間は、どこかの選考で不思議と落とされる。3、4度と面接を進めば、分かる人には分かるという事だろう。
出版社の面接に対策は無い。強いてあげるならば、とんでもない事を言われるかもしれないということくらいか。しかしそれは他の業種でもあることだろう。
・この商品(消しゴムや缶コーヒー)のリニューアル案を述べよ
・隣の人を我が社に入社させるためにプレゼンしてください(グループ面接)
・キミの企画は面白くないね。どこが面白くないか分かるかな?
こういった事が起こる。浅はかな人間や、底意地の悪い人間が落とされるシステムをなかなかどうして上手く用意しているのが出版社だ。それだけ編集者は超人的な頭脳を持っているという事。もしもあなたが、自分は賢いんだと思っているならば、出版社を受けてはいけない。なぜなら、あなたより賢い人がゴマンと居るから。賢さで敗れ、人間性でも敗れれば勝ち目が無いのは分かりきっている。
加えて、何十社と落ちることが予想される。私のようにプライドのプの字も無ければ話しは別だが、俺は賢い!と思っている気位の高い人間には耐えられないだろう。搾り出した発言、企画が次々と破れて行く様は、さながら自分の人生の完全否定だからだ。追い詰められるくらいなら、もっとカタギな仕事を選ぶべきだ。沸点が低く、ブチ切れてしまう人間を私は何人も見てきた。そこで落ち着いて、そういった人にさえ気遣いが出来れば、グループ面接突破は確約されたようなものだが、まあ、それは急には出来まい。
そこで別の一手を授けようと思う。グループ面接ではケンカをするな。だ。
面接官に否定的な意見をするように促される場合もあるが、誰かの意見を否定すれば、それ即ち人格破綻者と思われる。いかに的確な否定意見でも無駄だ。人様に意見がましいことを言うのは、それだけリスキーで、失礼だという事。自分の意見とまるで違っても、素知らぬ顔で応じたい。そういうポーカーフェイスが苦手であるならば、お題が出た3秒後に手を挙げて発表すること。初手ならば自分が誰かを否定せずに済む。
グループ面接になれば、気位の高い奴が1人は居るので、前出の意見に否定的な事を言って愉悦を感じてしまう輩が出てくる。超有名大学出身者を私のような人間が乗り越えてこれたのは、こういったジャイアントキリングがあったからというのは間違いの無いところだろう。