アキバ系雑談

日本のものづくりは、重厚長大から文化重用へ転換すべきかも

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日本が得意とするものづくりのウソ

「ものづくり」で国を支える!というのは実は簡単で、国民を圧政で虐げたり、激安で商品をつくったり、他国の技術を盗めばいいんです。やってきた国がいっているんだから間違いないし、現在も世界中でやられています。本当にトップランナーとしてものづくり大国を目指すなら、そんな簡単にパクれるものを柱に据えちゃいかんと思うわけです。

日本人はApple製品が大好きです。スマホのシェアでiPhoneが圧倒しているのは日本くらいだと聞いたことがあります。なぜApple製品を好むのか。それは、アメリカへの憧れだとかAppleという企業文化、デザインに日本人の感性がぴったりくるからでしょう。

国家が成熟してくると、どうしても付加価値でしかものが売れなくなります。かつての日本のように、安かろう悪かろうから、安くていいへ。そして現在の値段なりの段階へ進むのは川が上から下へ流れるような自然の摂理です。こうなると、後発国に重厚長大産業の面では勝てなくなります。圧倒的に安いので。ましてや日本は材料が採れない。加工貿易国なのに、加工技術もいまやアジアに追いつかれ、部分的には追い抜かれています。価格などいわずもがなです。

いま、ものづくり大国の再興を!という指導者がいたとすれば、それはもう国家的犯罪です。滅亡しましょうといっていることと変わらない。同じようにつくって勝てる相手ではないのですから。かつてのアメリカは、これに悩まされ、いまも引きずってはいますが、さっさと産業大国の地位を捨てて新しい技術に舵をきりました。これはアメリカ人の合理的気質ですから、日本人にすぐにできるかといえば難しいかもしれません。そうしてかつての栄光やプライドにすがっている人はどこの国にもいますけれども、ヨーロッパのかつての帝国の数々、最近ではイギリスなんかが顕著ですが、ああいうことになるわけです。ですから、やり直す、復興するのではなく、次なる場所へ向かう段階にきていると私は思います。

 

日本の次なる産業政策はマンガ(文化)産業であるべき理由

そんななかで日本人の気質にあい、世界になくて、かつ簡単に真似できないものってなんだろう?と思えば、やはりマンガ(オタク文化)なわけです。この分野でなら世界一と思われているかもしれませんが、実はそうでもなくて、ゲームについては軒並み負け続き。任天堂ががんばっているくらいで、おもしろさ、派手さ、映像技術といったものの集合体であるエンタメは欧米に勝てんようです。でも、マンガであればギリギリイニシアチブを取れている。韓国や中国の猛追がありますが、それでもこれほど根ざしているのは日本だけ。マンガの読み方がわからない人なんてそうそうお目にかからないのも日本だからです。

多くの方がマンガの話、できますよね。知識がどう、技術論がどうというのを除けば、ドラゴンボールだとかキン肉マン、キャプテン翼にワンピース……いまだとブラッククローバーなんかでしょうか。男の子が血をたぎらせるような作品があり、同年代で同じような環境で育っていれば、世代の作品とそれとはなししに語れる。そんなものがあるのも日本くらいです。マンガでコミュニケーションというのは大変ラクなコミュニケーションです。世界では、サッカー好きだといって集まっても、ひいきのチームが違うと殺し合いになることもあります。でも、マンガの好き嫌いで殴り合いにはならんでしょう。これに加えて海外でタブーである、政治、宗教、人種といった話題を抜いたら、天気のことくらいしか共通の話題がないんじゃないかと思います。でも、日本だとマンガの話ができそうです。

当然、全員が読んでいるわけではありません。でも、マンガという共通のものを大切にできる素地があり、世界に打って出ても、作り手も読み手も国民性が違うためすぐさま真似してどうなるというものでもない。これはとても強い。独自性の塊なので、値段も言い値にできますし、権利ビジネスなので物を採ってきて加工してという運搬や採集、在庫のリスクもない。

そんなすばらしいタネを持っているのに、あんまり大切にされていないマンガ(オタク文化)。ありきたりすぎるからでしょうか。身近にありすぎて、わからなくなっているのかもしれません。でも、これってすごいことなんです。

エンジンの技術が不要になれば、あとは充電池積んでおけば走る電気自動車の登場で、日本のお家芸である自動車は木っ端微塵にされるかもしれません。でも、マンガとなるとそうはいかない。AIがマンガを描きだしたら?そんなことになれば人間は労働をせず安寧に暮らすか、AIに虐げられ、殺されるかなので考えるだけ無駄ってもんです。

マンガはまだまだ輝き、これから頼れる存在です。もっともっと国策で守り、売るべき商品で、誇るべき文化だと思うんだけどなあ。

 

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