ケロロ軍曹の20巻です。今回は映画の原案で1冊丸ごとという形ですね。一話完結による古典的な作風で知られる氏ですが、当然1巻丸ごと1つのテーマでやりきる事も可能。最近はアニメの力が凄く、アニメのケロロ=ケロロ軍曹とし、吉崎氏については無理解な読者による、アニメと作風が違って面白くない。という指摘が見受けられますが、同人誌を描いていらした頃からのファンとしては残念に思います。
古参が偉そうな事を言うな!ではなく、アニメのケロロが好きなら好きで良いのです。
その価値観で吉崎氏の作品を読んでつまらないと言うのは違うだろうと。
20巻はそういった、アニメが軸足の方には難しい一巻だと思います。
私のように、吉崎氏だから買う、吉崎絵だから欲しい。という人間ならば何の問題もありませんし、今までのケロロ軍曹に出てきた若年層にはとても理解出来ないようなネタを理解出来ていた「相応の連中」には今までどおり楽しめるのではないかと。
表紙のバイク、HANG-OFFと書かれているのですが、
85年のSEGAの体感型バイクゲーム筐体「ハングオン」が元だとお分かりになる方なら問題なし。
ハングオンって名前を付けてるけど、実は英語ではHANG-OFFってのが正式なんだってさ。
開発者の鈴木さんがね…などと語れればレトロゲーマー丸出しでなおよし。
吉崎氏はバイク乗りのようですし、その辺まで読みきったパロディなのかも。
何はともあれ、映画やアニメのような、キャラを拝借した出来損ないSFではなく、
氏がSF脚本家としても第一級の地位にある事が良く分かる一冊。
氏の絵でもってアニメーションすれば、ジブリともタメを張れると思うんですけどね。
妙な映画スタッフなんていらんかったんや!ってなもんで。
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